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R6年3月議会/「R6年度岬町一般会計予算」の松尾の討論

R6年3月議会/「R6年度岬町一般会計予算」の松尾の討論

●松尾ただしの、谷地議員が提出された「令和6年度一般会計予算の組替えを求める動議案」についての討論

提案者の令和6年度一般会計予算の組替えを求める動議案について賛成する立場で討論に加わります。

  提案者の組替え動議案の事項以外についても、様々、まだ思うところ、そして改善すべきところは、私はあると考えておりますが、提案者の動議提出の理由が、私の考える方向性と同じであると感じましたので、賛成の立場で私の意見を述べます。

  1番、歳出の減額について、移住定住促進PR番組制作、そして放送事業である726万円について、私も十分な効果検証や、既存のPR動画の有効活用ができていないと考えております。そして、既存のPR動画の再生回数も少ない。今後、新たに同じようなPR番組をつくったとて、同じ結果となるでしょう。多額の税金をかけてのPR番組の制作は中止して、まずは効果検証と、既存のPR動画の有効活用を進めることが妥当と考えます。

  一方で、新しいプロモーション方法も模索していくべきと考えます。例えば、私ならこうします。

  私が今議会の一般質問で提案しました空き家バンクに登録されている物件を、お試し居住制度の物件として活用できるよう制度化します。その上で、その制度の詳細な説明とPRと合わせて、それぞれの空き家登録の物件別に、物件の細部にわたる動画と、そして現在、求職中の町内企業、そして事業者と連携して、職の案内をする。また、今まで作成した岬町のPR番組をちゃんとリンクさせて、その空き家の物件と、そして岬町の職案内、そして町全体をより魅力的に伝えられるよう、編集した動画を配信するんです。

  これはどういうことかというと、住むところと仕事をするところ、そして環境をアピールするという動画です。これだけでも全国にいる、要はターゲットですね、どこに向けて動画を配信するかということですけれども、全国にいる移住を検討している層に届くものになりますし、空き家の解消とともに、移住者の引き込みが見込めます。

  漠然と町のPRをしても、岬町での具体的な生活イメージがわかないと、移住へとステップすることはまずあり得ません。

  私が提案したものは、仕事をする、そして住むところの具体的なPR動画を作成するもので、移住後のイメージがしやすいものです。この内容だと、誰でも作成可能なもので、費用はほとんどかかりません。

  財政が逼迫していると町長はよくおっしゃいます。と言われるのであれば、このように費用をかけずに、自分たちでできることから自分たちで工夫して制作できるものは、こうやってたくさんあるわけです。それを考えて、改めていただきたいと申し述べます。

  そして次に、2番の歳出の増額についてです。

  岬町立小中学校の将来構想検討委員会の設置についてでありますが、先日、深日小学校の卒業式に私は参加をさせていただきました。今年の卒業生は7名、深日小学校児童数の減少幅は、岬町内でも断トツです。様々な問題により、卒業生が入学時より数名少なくなり、7名になったのは、少なからず少人数制の学校であることが起因の一つとなっていることが、調査で分かっています。まさに少人数制学校の負の部分、デメリットが生徒だけにとどまらず、保護者、そして先生などへ、精神的な負担が重くのしかかっている現状が、今まさにあるわけです。

  少人数制が決して悪いとは言いませんが、岬町の現状を鑑みて、町の財政状況をとってしても、今の状態を保つことが、果たして子どもたちのためと言い切れるのか。

  例えば、義務教育学校にすれば、1校の運営費用で賄えることとなる。そうなれば、今、4校に割いている予算が一つにまとまり、余分な費用は、さらに子どもたちの教育費用に回すことができます。5年後に、岬町で小学生となる子どもの数を考えれば、今から考え出しても、もう既に遅いぐらいと言えます。よって、小中学校の将来構想検討委員会は、速やかに設置すべきと考えます。

  そして最後の3、基金積立の増額では、提案者の言われるとおりだと、私も考えます。それに加えて、私はさらに、この危機的な逼迫した財政状況について、抜本的な改革と新たな挑戦が必要不可欠と考えます。財政調整基金、いわゆる貯金についても、平成27年度は8億475万円あったものに対し、来年度、令和6年度は、1億2,440万円にまで減少。この9年間で約7億円も切り崩してきているわけです。

  また地方債、いわゆる借金ですが、来年度末高見込みで70億4,208万円あります。この元金償還、いわゆる返済に6億から7億円返済に回しているというのがありますが、毎年、3億から4億を新たに債券を発行しているという状況もあります。

  一方、町税収入はというと、予算ベースで平成27年度は21億4,622万円あったのに対し、来年度は17億5,263万円であり、9年間で約4億円の収入減となっているわけです。このような状況を分析すると、毎年約8,000万円ずつ基金を取り崩して、何とか町の機能を維持してきた結果が今の状況にあると言えます。

  新しい人口増加策や、町の活性化策などがほとんど見当たらず、歳入増が見込めない今の町政では、町税収入は減り続ける見通しであること、また、数年前より導入された過疎債により、借金ですね、町の機能維持のために地方債が増える傾向にあることを勘案すると、今の町政を続けると、数年後には財政調整基金、貯金がゼロとなり、住民サービスの低下が始まると言っても過言ではない状況が容易に想像できます。また、何か想定外の出来事が起きた場合、対処できない事態に陥る、これは危機的な、ゆゆしき事態です。財政が厳しい、逼迫していると言われることは間違いない。これは思いますが、そんな中でも多くの新規道路の整備、そして新規ハードの建設というのが、今後予定されております。

  一方では、役場をはじめ、数多くある既存の公共施設の維持や更新もしていかないといけない。そんな厳しい状況にあって、まずは歳入を増やす新しい仕組みや、人口増を狙う政策がもう必要不可欠と私は考えます。

  この1年間でも、私は議会で、様々な町の活性化策と人口増加策、また歳入の増加策などの施策を数多く提案してきております。そしてそのほとんどが、税金を費やさずに、やる気があれば取り組み始められる仕組みづくりです。

  ここで、過去に提言提案してきた政策は、過去の一般質問や委員会での議事録を参照していただくとして披露しませんが、本気で住民のため、街のためを思い、財政を立て直すお考えがあるのならば、改めてしっかりと検討し、それらに挑戦していただくことを追加で求め、賛成討論といたします。

採決の結果

賛成者: 松尾・谷地

反対者: 大里・早川・中原・坂原・奥野・道工・谷崎・出口・瀧見

敬称略)

起立少数により、「令和6年度一般会計予算の組替えを求める動議案」は否決

●松尾ただしの、町行政が提案の「令和6年度一般会計予算」についての討論

一般会計予算、反対の立場で討論に加わります。

  先ほど予算案の組替動議の審議での討論で述べたとおりでありますけれども、この危機的な、逼迫した財政状況について、抜本的な改革と新たな挑戦が必要不可欠と、先ほども申し上げました。

  財政基金が過去9年間の結果から分析すると、先ほども言いましたけれども、毎年約8,000万円ずつ基金を取り崩して、何とか町の機能を維持してきた結果であると言えます。

  新しい人口増加策や、町の活性化策などがなく、歳入増が見込めない今の町政では、町税収入は減り続ける見通しである。そして、数年前より導入された過疎債により、町の機能維持のために地方債が増える傾向にあることを勘案すると、今の町政を続けると、数年後には財政調整基金、これがゼロになりまして、住民サービスの低下が始まると言っても過言ではない状況も、先ほども申し上げたとおりでございます。

  この危機的状況を打破するためには、やはり歳入増、そして歳出減の徹底的な見直し、そして改革が必要と私は考えます。組替動議時の審議の討論で私が述べた事項に加えて、私の考えを述べたいと思います。

  まずは、深日洲本ライナー事業について。これは令和5年度の結果を見ると、5,431万4,000円の事業予算で、平均乗船単価が1,307円となっております。この場合、赤字でなくなる乗船者数は何人かというと、1便で81.25人乗らないといけないことになります。82人乗船しないと経営が成り立たないわけですね。これが平均乗船単価を1,500円としても、1便当たり70.75人必要であり、71人乗船しないと赤字となることになります。これはつまり、乗船定員70人以下の現行のインフィニティ号では、実施する前から既に達成が不可能なものです。

  そんな中、結果はどうだったのか。1便当たり平均19.6人しか乗っておりません。19.6人です。

  民間企業だと大赤字で、既に、もうすぐにでも廃止レベルです。そんな結果が出ていても、令和6年度予算は、さらに今年度予算より100万円上乗せられて、5,530万円にて、中身もほとんど変えることなく実施しようとされている。これでどうやって民間経営で成り立っていくと考えているのか、私には理解ができません。

  実証実験で6年間やってきました。平日は利用者が少ないからと、令和1年度より土日祝のみの運行となった以外、価格や実施形態など大きく変えることなく、毎年ほとんど同じ内容で実施してきて、劇的な変化がない結果がもう既に出ております。私からすると、6年もやってきたこの事業、既に持続可能性がない結果が出ている。

  そんな中、事業が見通せないものに、我々の町税、予算ベースですが、857万円、さらに国税といえども、我々の税金、2,765万円もまだつぎ込んで、一体何のためにこの事業を継続するのか、ゴールはどこなのか、そして目標はどこなのか、不透明であり、不可解でなりません。

  また、この事業の実施には、税金を払っている住民の皆さんからも懸念を示す声のほうが多く、中身も到底納得を得られないような事業ではないかと私は考えます。

  また、今議会中にあった深日港活性化空港対策特別委員会での資料を見ると、経済波及効果は、大阪府が3,600万円、その事業に対し、予算で公金を4,479万円使っていることになり、公金支出のほうが大きく上回っている。つまり、洲本ライナー事業は大赤字というだけでなく、経済波及効果も、公金を勘案するとマイナス879万円であるということが明らかになったわけです。

  特に、岬町はこの事業で、商店やお店等にお金が落ちていないということも、アンケート等でも既に明らかとなっておるわけです。災害時に役に立つから続けるとの町長の意見ですけれども、国や町からの税金、公金の補助がなくなれば、持続は不可能になるのは目に見えて明らかではありませんか。そのような事業を続けること自体、今、すごい財政は逼迫していると言われているのと同義であると私は考えます。

  しかし、私も、国や洲本市との3年間の共同事業だから、実施せざるを得ないんだという事情も理解できないものではありません。そんな事業を勘案した場合、私ならこの事業をどう進めるか、私ならですよ。乗船料金を変更したり、乗船料金とサービスのバリエーションを増やしたり、そして乗船価格を選択できるようにしたりするでしょう。また、目的地についても、洲本港だけでなく、関西国際空港や他市町などと連携をして、関空やほかの市町の港を経由することなども実現させるでしょう

  事業の目的そのものについても、ライナーではなく、観光に特化した、遊覧できるようなものにチャレンジするでしょう。そして何より、まずすべきことは、深日港周辺にお店や企業人を集める施策を実行したり、住民の皆さんと協働―― 協力して働く、見て、観光の受入メニューを考えてプロモーションを実施します。

  それはどういうことか。私がずっと言っている、岬町を目的地としてやってくる人を増やす、いわゆる岬町の目的地づくりを最優先に注力します。4年前から同じことを私は言い続けておりますが、この目的地づくり、それが全くできていない。この事業は社会実験です。私なら持続可能なものとなるよう、本気で模索します。いろんなことにチャレンジします。なぜなら、大事な税金を使うんだから、責任を持って、目標に近づけるために、あらゆる新しいチャレンジをするでしょう。しかし残念ながら、来年度も予算ベースで857万円の町税を、財政が逼迫していると言われる中、目標もゴールも不透明な中で、今年も変わらない事業内容で実施することに、私は承認はできません。

  深日港フェスティバルに至っても、今年度より10%増の637万円を1日で費やすことを見込んでおりますが、この10年間、深日港周辺のにぎわいが高まったと言えるでしょうか。私は到底言えません。

  また、当日来場した方はもちろん、出展者や近隣店舗などへの経済効果はあったのか、しっかりとアンケートをとって、本来の目的である地域活性化につながったかどうか、最低限検証すべきだと、ずっと前から言ってきておりますが、今まで、一向にそれをしてこられなかった。これでは事業の費用対効果を確認できないし、そのような姿勢で同じ内容のイベントを、前年度踏襲形で実行することに、町財政が逼迫していると言われている中、私は妥当性がないと言わざるを得ません。

  ごみ処理や資源のリサイクルについても、まずもって、ゼロカーボンシティへの挑戦をうたっているにも関わらず、行動が伴っていない嘆かわしい事態が明らかとなりました。特に、驚くべきことは、現在、美化センターでごみを燃やしたときに排出されるCO、二酸化炭素の測定を行っていないし、今後もするつもりはないという町の態度には、正直呆れております。

  削減しなければならない、大本となる美化センターのごみ処理時の排出データを算出せずに、いかにしてゼロカーボンを掲げることができるのか。事務事業編に限ってのゼロカーボン宣言だと釈明されても、我々住民からすると、町全体での表明だと、普通は認識するし、今の時代、町全体で削減していくべきものです。それが地方自治体としての社会的責任、そして今や使命だと私は考えております。

  また、資源ごみである紙類なども、お金にならないからと燃やしている現状も分かりました。

  住民がせっかく分別を行い、リサイクルの意識を持って行動したとしても、これでは住民のエコ意識を踏みにじる行為であり、容認できるものではありません。今、衛生費、そして塵芥処理費、そして埋立処分場費で、約4億円強もの税金がごみ処理の費用としてかかっております。そのうちの大部分が美化センターの運営とごみ収集、そして運搬処分費となっております。

  ここで、私ならどうするか。私なら、以前から提案しているように、各自治区に各資源ごみを、リサイクル事業者が回収しに来る仕組みづくりを資源として取り扱うことで、ごみ収集の回数が減り、燃やされるごみも減らされる。それは焼却炉の延命にもつながるはずです。これだけで、現状、かかっている費用の1億円以上の予算を削減することができるんです。さらに、その回収資源ごみは、売却益として収入が各自治区に入るので、自治区運営が豊かになるというプラスの仕組みづくりが可能となります。

  行政と住民が協働して、費用をかけることなく、仕組みづくりのみで実現できるはずの事業を、私は以前から提言しております。その提言を検討する努力を行うこともなく、1億円以上の交付金、税金を、改善意識を持たずに無駄遣いするための予算は、到底、私は理解はできません。財政が逼迫しているというのであれば、今の事業を1から見直し、新たなチャレンジ、そして改革をすべきと、今後の町の運営を考えると、私はそう思います。

  また、コミュニティバス運営の来年度予算7,851万円についても、来年度は、過疎対策事業債、いわゆる過疎債が3,500万円充てられております。借金です。この過疎債が使えなくなった場合はどうなるのかの見通しが、私は残念ながら不透明に思います。

  また、過疎債は償還時期の早い借金という性質から、借金に借金を重ね、問題を先送りして、次世代へ責任を押しつける政治から脱却して、抜本的な改革を、今求めます。

  また、毎年のバス運営費の高騰と、さらに南海多奈川線の4割のダイヤ減便の事実も相まって、岬町の公共交通の在り方が喫緊で問われている深刻な事態、これではバスの運営費は高騰する一方ですし、それを解決していくような政策や計画もなく、持続可能な運営を見通せる対策や根拠も示されておりません。

  バスのダイヤが変更されましたが、12月議会の一般質問でも申しましたが、バスに限らず、早急に今後の岬町に合う公共交通の在り方について、今からでも調査研究を始めていただくことを要望いたします。

  戸籍電算化システムや、コンビニ交付システムなどのIT化にまつわる保守業務委託料についても、デジタル化に伴う、ハードもソフトも保守業務委託料の項目が増えており、費用が増大化しております。

  サービスの充実化は大事ですけれども、歳入が少なく、今後も減っていく中で、今後、どのようにこれらの事業を維持継続していくのか、費用対効果を見据えたサービスの拡充を行うのか、歳入を増やす政策を実施していくのか、この2択になるわけですけれども、現在の岬町に至っては、そのどちらも成し得ていないし、今後もサービスの維持を見通せるだけの根拠の説明が、今、示されておりません。

  以上のように、課題は山積みする中、その解決法のど真ん中に位置するのは、やはり抜本的な改革であり、歳入を増やす新しい仕組みや、人口増を狙う斬新な政策を考え、実行すること、挑戦し続けること以外にないと私は考えております。

  この1年間でも、私は議会で様々なまちの活性化策と、人口増加策、また、歳入の増加策などの施策を数多く提案してまいりました。そしてそのほとんどが税金を費やさずに、やる気があれば取組を始められる仕組みづくりです。今、まさにそれが求められていると思います。

  学校給食の食材の地産地消化の仕組みづくりをはじめ、先ほども申し上げました空き家バンク登録の物件を、お試し居住制度で使用できるようにする仕組みづくりや、来町者と納税者を増やす店舗型ふるさと納税の仕組みづくり、そして町内を活性化する地域ポイント制度などの仕組みの導入なども、まさに仕組みづくりそのものです。本気で住民のため、町のためを思い、財政を立て直すお考えがあるのなら、改めてしっかりと検討し、それらにチャレンジしていくことを求めます。

  聞く耳を持たず、新しいことにチャレンジしようともしない今の町政、ましてや、各事業を振り返り、検証や見直しもない、前年度踏襲型の、私からすると、ここまで来ると、無責任な政治に見えます。試す価値のあることや、すべきことに気がつかないのか。または政治的な闇があり、価値を知っていて蓋をするのか、結局検討もせずに新しいことにチャレンジしない姿勢は、今後さらに町を衰退させ、財政を逼迫させ、町を危機的状況にさせるのは明白です。

  私なら、各事業に対し、効果をしっかりと検証し、先の見通せない、見込みがないものは潔く切る。そして、見直した予算で新たなチャレンジをしていく。逼迫した危機的な状況、財政ならなおさらです。それをちゃんとやっていただきたい。

  現在の町政にあっては、効果検証を行っている気配すら、私は感じられません。何が今、岬町に住んでいる住民のための公費となるのか、何が必要なのか、十分に精査した上で、住み続けたいと思ってもらえる、公平公正な行政サービスを展開できるよう、必要のない事業を見直し、予算を徹底的に管理し、なおかつ必要な事業に転換していくことを切に願いまして、反対討論といたします。

採決の結果

賛成者: 大里・早川・坂原・奥野・道工・谷崎・出口・瀧見

反対者: 松尾・谷地・中原 敬称略)

起立多数により、「令和6年度岬町一般会計予算」は可決。

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