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R7年3月議会/「R7年度岬町一般会計予算」審議

R7年3月議会/「R7年度岬町一般会計予算」審議

会派「みさき新時代」谷地議員が提出した「R7年度一般会計予算の組替えを求める動議」についての趣旨説明

●谷地議員の趣旨説明

ただいま議案となりました令和7年度一般会計予算の組替えを求める動議に関して、その趣旨をご説明いたします。

  まずは、組替えを求める理由について述べます。

  高齢化、人口減少の急速な進行により、本町においてもかなり厳しい財政状況に陥っており、第4次集中改革プラン、現在は素案になりますけれども、こちらでも示されておりますとおり、毎年1億円以上の赤字となるため、積極的な行財政改革が求められています。そんな中、持続可能な町政運営を推進しつつ町を発展させていくためには、事業実施に当たって、これまで以上にその必要性、有効性、優先度、費用対効果などを考え、慎重に判断する必要があります。

  このような観点から、令和7年度一般会計予算の一部の事業において中止及び見直しを行い、これに代わって早急に実施すべき事業の追加を行うため、予算の組替え動議を提出いたします。

  次に、組替え案の概要についてご説明いたします。

  組換えの内容としては、大きく5つあります。1、事業中止による歳出の削減。2、ごみ収集の見直し。3、議会費の見直し。4、南海トラフ巨大地震に備えた災害対策の実施。5、職員の人員削減の見直し及び管理職手当10%カットの中止、こちらの5つです。

  まず初めに、1、事業中止より歳出の削減として、3つの事業の中止を求めます。

  1つ目は、町道宮下連絡線整備事業860万2,000円です。本事業は、令和6年度当初予算において、測量設計の費用として970万円が計上され、私はこのときも組替え動議を提出し、事業の中止を求めました。津波や洪水時の高台避難所である理智院棟と、避難所である多奈川小学校を結ぶ道路の拡幅工事であり、災害時の安全性、利便性の向上を図るためとされていますが、想定されている災害が不明確であり、岬町総合防災マップのハザードマップともつじつまが合わず、行政側からの事業の必要性に対する説明も一貫性がなく、納得し難いものです。津波においては、南海トラフ巨大地震での最大津波水位は3.8メートルと想定されており、標高6.5メートルの多田川小学校は浸水区域になっていません。また、洪水においては、東川、西川で24時間総雨量1,150ミリ、1時間雨量最大139.5ミリの大雨が降った場合であっても、多奈川小学校の浸水高さは0.5メートル未満であり、逆に理智院棟の近くは土砂災害特別警戒区域に指定されており危険であるため、高台避難所に指定されていません。

  それと事業委員会において、過去に発生した東川、西川の氾濫に対する懸念も理由の一つとされていましたが、私が調べたところ、東川、西川の氾濫は、昭和27年7月、そして平成元年の2回発生しており、大阪府の東川水域河川整備計画によると、平成27年7月水害発生を契機に、堤防及び護岸復旧工事が始まり、それ以降も災害が発生するたびに改修が行われてきた。これにより、現在では、東川、西川ともに全区間で1時間当たり50ミリの大雨が降った場合に発生する洪水に対応できるようになっている。また、河口部においては、伊勢湾台風級の超大型台風の高潮にも対応できる防潮堤が完成しているとされています。昔に河川が氾濫した当時と違って、今は河川の護岸工事も完了しているため、氾濫のリスクは少ないと思います。また、土砂崩れにおいては、先ほども述べたとおり、理智院棟の近くは土砂災害特別警戒区域となっているため、逆に大雨洪水時に近づくのは危険です。そのため、大雨洪水時に宮下連絡線を通って理智院棟に避難することはないと思います。

  また、生活道路としての利便性の向上も理由の一つとされていますが、私もこの道路を何度か通ったこともあります。しかし、この道路をふだん利用する人は非常に少ないと思います。さらには、多奈川小学校が理智院棟の避難所への道路としては、令和元年12月に町道多奈川歴史街道線が開通したばかりです。

  このように、災害発生リスクや想定される災害時の状況、ふだんの生活道路としての利用を考えても、宮下連絡線の拡幅工事の必要性、優先度は決して高いとは言えません。このようなことから、多くの住民からこの事業に対して疑問視する声も聞いています。

  さらに、本事業に係る費用については、令和7年度当初予算の860万2,000円だけではありません。第4次集中改革プランにおいて示されているとおり、令和6年度から令和10年度までの総事業費は1億7,000万円にも及んでいます。厳しい財政状況の中、これだけ多額の費用をかけて優先的に実施すべき事業とは考え難いです。

 次に、2つ目は、移住定住促進PR番組制作放送事業683万3,000円です。こちらについても、令和6年度当初予算の組替え動議で中止を求めました。

  移住定住促進PR番組、具体的にはJCOMにて制作、放送している岬暮らしですが、令和3年度からおよそ3年半実施しており、既に19本のPR番組を制作し、これまでにおよそ2,420万円もかかっています。

  しかし、令和6年度と同様に、十分な効果研修もできておらず、PR番組の動画の有効活用においても十分にできているとは言い難いです。転入者に実施しているアンケートにおいても、転入のきっかけがPR番組という人はゼロ人という状況です。また、令和6年度には大阪・関西万博に向けて別のPR動画を作成しており、万博以外でも活用できるとのことです。

  そのため、700万円近くもの多額の費用をかけて追加のPR番組を制作するのは中止し、まずはきちんと効果検証を行うとともに、既存のPR動画の有効活用を進めるべきと考えます。

  3つ目は、航路再生事業深日洲本ライナーです。

  航路再生事業である深日洲本ライナーは、町の活性化や災害支援を目的に、平成29年度から7年間、3回の社会実験を重ねています。ご存じのとおり、徐々に利用者は増えているものの、依然として国の交付金がなければ事業継続が困難な状況です。現在、国へ4回目の社会実験の申請を行っており、3月末に内示が出る予定と伺っています。まだ内示の結果については伺っておりませんが、もし採択されなかった場合には、事業実施するとなると、およそ6,600万円もの事業費を、洲本市と岬町で負担しなければなりません。先日のみさき新時代の会派代表質問の際に、もしも不採択であった場合には、共同事業者である洲本市の考えもあるため、現時点において岬町として答えられないとのことでしたが、これまでの社会実験での収益性とまちの活性化への波及効果を考えても、国の交付金が採択されなかった場合には、事業中止の方向へ進めるべきであると考えます。

  次に、2、ごみ収集の見直しを求めます。

  ごみ処理には毎年およそ4億円といった多額の費用がかかっています。そのうちの1億円が可燃ごみ及び資源ごみ収集委託料です。私は議員になった当初から、環境負荷低減、そして財源確保の方法として、ごみの削減や収集頻度、分別収集見直しによる収集運搬経費削減、有価物の売却収入増加に取組を訴えてきました。令和7年度からようやく雑紙を含む紙類の資源化の改善に取り組むこととなり、一歩前進したと感じています。

  しかし、まだまだ取組としては十分ではなく、できることがたくさんあります。一つは空き缶・空き瓶の有価物としての売却収入の確保です。特にアルミ缶は高いときには1キログラム当たり200円以上といった高値で取引されるときもあります。しかし、ご存じのとおり、岬町では空き缶と空き瓶を一緒に回収しているため、有価物としての売却収入を得られていません。そのため、収集頻度を見直して、個別収集を行い、有価物として売却できるようにすべきと考えます。参考までに、岬町と人口が近い埼玉県嵐山町が公表している有価物売却収入によると、紙類、衣類、アルミ缶の2024年4月から12月の売却収入平均は、一月当たり62万9,135円です。岬町でも4月から紙類・衣類について売却収入が得られますし、これにアルミ缶が加わったとしたら、恐らく同額ぐらいにはなるのではないかと考えます。年間でおよそ750万円です。新たな財源としても少ない金額ではないです。また、売却収入を得られるだけでなく、今まで処分費用として関わっていた分も減ります。

  そして、もう一つは、小型不燃ごみの収集方法の見直しや全体の収集頻度を週5日から週4日にすることで、ごみ収集処分費用の削減を図ります。岬町においては、小型不燃ごみも月曜日と火曜日に品目別に無料回収を行っていますが、量は少ないですし、ほかも含めて全体的に収集方法を見直して、収集頻度を週5日から週4日にすることで、大幅に収集運搬経費を削減することができると思います。

  いずれにせよ、ごみ収集見直しによる財源確保は、新たな設備投資なども必要なく、住民の協力によりできる取組です。かなり大きい効果額も期待できるため、早急に取り組むべきと思います。

  次に、3、議会費の見直しを求めます。

  現在、議会で抱えている大きな課題の一つは、必要な会議録を作成できていないということです。議会運営委員会、全員協議会、特別委員会の会議録を作成できていません。令和6年度にも補正予算を要望しましたが予算がつかず、令和7年度当初予算においても必要な予算が計上されていません。令和7年度においては、行政側で導入するAI文字起こしソフトを活用して会議録を作成する方針となっていますが、AI文字起こしソフトは、令和6年度に議会改革委員会で検証を行った結果、精度が不十分で議会事務局の負担が大幅に増えるため、活用は困難という結論に至っています。議会事務局の予算要望の際に、AI文字起こしソフトを活用して会議録を作成するのは無理だと回答しています。もちろんAI文字起こしソフトといった新しい技術を活用して業務効率化や経費削減に取り組むことは必要と考えますが、もっと慎重に活用方法を模索する必要があると考えます。今、急にAI文字起こしソフト活用する運用に切り替えてしまうと、議会事務局の業務負担が大幅に増え、超過勤務が増えるだけだと思います。そうなると、結局のところ、業務効率化や経費削減にもつながらず、議会事務局がつらい思いをするだけです。議会が活発化しているため、会議時間が増えて反訳費用が増大していますが、厳しい財政状況の中、議会費だけを増額するのは難しいということは重々承知しております。

  そのため、議会としての優先度を考えた場合、議会ペーパーレス会議システム導入費用と議会視察研修費用削減して反訳費用を確保し、全ての会議録の作成を行うべきと考えます。特に、ペーパーレス会議システムにおいては、タブレット端末とセットで要望していたものであるため、端末をどのように準備するかといった課題について議会で検討ができていません。行政側からは、小・中学校のタブレット端末更新を予定しているため、これによって余った端末で使用できそうなものを活用するという案も示されていますが、中古端末であるため、安定性への懸念があります。ペーパーレス会議システム導入については、議会として端末をどのように準備するのかを決めることが前提であるため、そこが不確定の状況でペーパーレス会議システムの予算だけを計上すべきではないと考えます。

  次に、4、南海トラフ巨大地震に備えた災害対策の実施を求めます。

  現在、岬町が一番進めなければならない災害対策は、南海トラフ巨大地震に備えた地震対策であると考えます。先日のみさき新時代の会派質問でも松尾議員がお伝えしましたが、全国で公共施設の耐震化が進められており、令和4年10月1日現在で、耐震性なしは僅か2.6%、耐震診断未実施は1.2%という状況です。岬町においては、役場庁舎が耐震性がなく、淡輪公民館、青少年センターは耐震診断未実施です。また、庁舎の耐震化率については、令和4年10月1日現在で、全国で90.6%、大阪府内で91.9%となっています。さらに、それ以降に調査整備を行った自治体を調べたところ、69件の自治体で新庁舎が完成しており、72件の自治体が具体的なスケジュールを示して整備を進めています。全国でどんどん庁舎整備が進んでいます。大阪府内で具体的に庁舎整備が進んでいないのは、岬町だけです。

  しかし、令和元年12月に岬町庁舎整備検討委員会より、庁舎整備に対する答申が出されてから6年以上経過していますが、庁舎整備基金は1億円にも達しておらず、全く見通しが立っていません。昨年、私は、堺以南の保守系議員で構成されている南大阪振興促進議員連盟の一員として国に要望活動を行っており、その中で庁舎整備についても要望しました。庁舎建て替えには多額の費用を要し、国からの特別な財政措置なくしては進めることが極めて困難であることから、平成28年4月の熊本地震を受けて特例的に創設された市町村役場機能緊急保全事業と同等の起債制度を創設するよう要望しました。しかし、国からの返答は、そもそも庁舎は公共施設ではなく公用施設であるため、整備に当たっては、自治体が自主財源で行うべきものである。市町村役場機能緊急保全事業は、あくまでも異例の特例措置であったため、同等の起債制度の創設は難しいとのことでした。

  皆さんご存じのとおり、庁舎整備においては、国の財政支援がないんです。庁舎整備に必要な多額の費用を自主財源で準備しなければならないんです。しかし、今のような基金の積立て状況では何十年先になるか分かりません。

  また、青少年センターについては、担当課から耐震診断実施の予算要望が出ているにもかかわらず予算が計上されていません。淡輪公民館については、公民館・図書館等整備事業を進めるため耐震診断を行わないという方針とのことですが、令和6年度に基本計画を策定することができず、令和7年度以降も策定時期は未定であり、こちらについても見通しが立っていません。

  公共施設は、多くの住民が利用し、職員の方もたくさん働いています。南海トラフ巨大地震はいつ発生するか分かりません。住民と職員の命を守るためにも、庁舎整備をはじめ、公共施設の耐震化を進める必要があります。そのため、早期に庁舎整備を実現できるように、庁舎整備基金の積立てを増額し、青少年センターと公民館については、まずは危険度を把握するために耐震診断を実施すべきと考えます。

  最後に、5、職員の人員削減の見直し及び管理職手当10%カットの中止を求めます。

  令和7年度には、行財政改革の取組として、会計年度任用職員が10名削減、管理職手当10%カットを予定しています。こちらについては、先日の全員協議会や常任委員会の審査において、多くの議員から懸念の意見が出されました。昨日の行財政改革懇談会においても、委員から心配する意見が出ました。大阪府内でも、岬町は人件費が高いため、職員配置適正化計画を作成し、これに基づいて人員削減を行うとのことですが、大幅な人員削減は、急激な業務負担の増加を招き、職場環境を悪化させてしまいます。また、これまでも行財政改革として、一般職給与と管理職手当の独自減額を行っており、令和5年度にやっと解消されたばかりです。せっかく解消されたのに、また管理職手当のカットを実施するとなると、管理職本人だけでなく、職員全体のモチベーションの低下を招いてしまいます。まちづくりを最前線で行ってくれているのは職員の方々です。職員の職場環境の悪化とモチベーション低下は、行政サービスの低下を引き起こす可能性があります。職員の方々が気持ちよく職務に専念し、自身の能力を最大限に発揮できるようにするためにも、人員削減を見直し、管理職手当10%カットは中止すべきだと考えます。

  以上が組替え案の概要であります。

  今回の組み替え案には、様々な内容を盛り込ませていただきました。皆さん、この部分は賛成だが、この部分は考えが違うなど、いろんな考えがあると考えます。また、令和7年度当初予算については、以前から我々議員が求めてきた中学校の給食費無償化、遠距離通学支援、フリースクール等利用支援、飼い主のいない猫の不妊・去勢手術費補助金、有価物集団回収報奨金などが含まれており、それ以外にも、住民に寄り添った事業が多くあり、評価できるところはたくさんあります。

  しかしその一方、このまま予算を通してしまってはいけないと思う部分もあります。今回の人員削減と管理職手当10%カット、また、庁舎整備基金の積立てが進まず見通しが立っていない件など、こういった点には多くの方が懸念する意見を出されていたはずです。このまま予算が通ってしまったら、人員は削減されます。管理職手当はカットされます。庁舎整備基金は令和7年度で200万円しか積み立てされません。青少年センター、公民館の耐震診断も実施されません。議会の会議録も作成できません。本当にこれでいいんでしょうか。意見を添えて賛成したとしても、その意見が今後通るとも限りません。今回の当初予算の内容に懸念点や見直しが必要な部分があるのであれば、これは反対すべきだと考えます。しっかりと明確に自分の考えを表明すべきです。

  沈黙は容認です。何も言わなければ、それは全てを認めているということです。厳しい財政状況です。そしてそれを支えている財源は、物価高騰などにより生活の厳しさは増している中、住民が払っている税金です。住民のために、そして、今後の岬町の未来のために今すべきことは何なのか、議会として果たすべき役割は何なのかをしっかりと考えていただき、本動議に賛成いただくことをお願いして、提案理由の説明といたします。

  よろしく願います。

▶︎これより質疑と答弁

● 早川議員の質問

1点、提案者に質問したいと思います。

  事業中止になる航路再生事業について、説明の中で、国の交付金が採決されなかった場合は事業中止の方向で進めるべきとありますが、これは交付金が採決された場合の取扱いについてどう考えているのか、1点お聞きしたいと思います。

● 谷地議員の答弁

航路再生事業においては、現在、国に交付金の申請をしている状況というのは認識しており、こちらについて私自身は、事業自体は中止すべきという考えではあります。しかし、国の交付金が採択された場合には、これを取り下げてまで事業を中止するというのは、それは得策ではないと考えています。

  そのため、国の申請が採択された場合には、やはりこの事業の中で最大限の効果を発揮するために、これは行政はもちろんですが、議会も協力して、この社会実験の期間、積極的に取り組む必要があると考えています。その中でその後、航路再生事業を本当にどうすべきかを考えていくべきと考えています。

● 早川議員の質問

ということは、国の交付金が採決された場合、組替え動議されるということは予算が削られるということで、交付金が通っても、また補正予算等で考えるということでよろしいでしょうか。

● 谷地議員の答弁

この組替え動議においては、この内容が賛成で可決されたとしても、このとおりに中止すべきとか、そういったものではなく、この提案を基に行政の側で再度検討していただくといったものです。

  今現在、航路再生事業においては、恐らく、国の交付金の申請の内示がまだ出ていない状況だと思うんですけれども、この時点で予算を削減しようといったものの提案ではないです。しかし、国の採択がされなかった場合には、そこで今後、航路再生事業を中止する方向で進める。そうなった場合には、一定それに関わる予算は補正予算において減額をする、そういった形で進めていただきたいというふうに考えています。

● 瀧見議員の質問

提案者に1点お伺いしたいと思います。

  岬町の大変厳しい財政状況が続く中というのは、提案者もおっしゃっておりますし、多くの議員が同じことを考えているということは間違いないと思うのですが、職員の人員削減の見直し及び管理職手当10%カットの中止というのをうたわれておられますが、職員の人員削減の見直し等に関しましては、この厳しい財政状況の中、逆のような気がする発言に私には聞こえてくるんです。

  ほかの議員が管理職手当10%カットはいかがなものかというのに関しましては、私も賛同する部分はあるのですが、この職員の人員削減に関しましては、厳しい財政状況の中、普通に考えてイコールではないのかなと思いますので、その辺を提案者にお伺いいたします。

● 谷地議員の答弁

瀧見議員がおっしゃるとおり、財政が厳しい状況の中で、そこで人件費を削減する、こういった取組というのは一定必要なものだというふうには考えます。

  人員削減において私が懸念しているのは、急に大幅な人員削減を行う、これについて懸念をしています。確かに一定ICT化を進めており、その中で業務効率化を図り、そこでできる限り人員を削減するという方向を進めることには、そこには特に異論はございません。しかし、今そこの効果が、システムを導入してすぐに発揮されるわけではなく、システムをきちんと使っていって、その中で業務が減っていって、初めてそこでじゃあ適正な人員、どれだけ減らしていけるのか、これにはある程度時間をかけて検証を行いながら慎重に進めるべきだと考えます。

  そのため、今回、こういった会計年度任用職員10人を行財政改革の一環で急激に減らす、これは職場環境の悪化、そういったものにつながり、職員さんの負担が急激に増加して、最終的には行政サービスの低下を引き起こすといったリスクにつながると思います。そのため、現在、職員の配置の適正化計画を作成されておりますけれども、その中で本当にシステムの効率化等々によってどれだけ人員を減らせるのか、そこは毎年度検証を行っていって、本当に負担のない形での削減を進めていく、そういった形で慎重に進めるべきだと考えます。

● 大里議員の質問

町道宮下連絡線整備事業、ここで提案者から、行政側からの事業の必要性に対する説明も一貫性がなくとありますけれども、どういう点で一貫性がないと言うてはるのでしょうか。

● 谷地議員の答弁

こちらについて一貫性がないという形で説明をさせていただきましたけれども、どういった部分かというと、最初は予算書の提案の部分でも、津波・洪水といったキーワードが出てきており、そこで令和6年度の委員会の場でも、どういった災害を想定されているのか、そういった質問が委員のほうからもありました。そこに対して、津波とか洪水がどれぐらいの規模なのか、そういった説明は特になく、それ自体では説明不十分かなと思いつつ、しかしそんな中、今回の委員会の審査では、川の氾濫といったキーワードが出てきたりとか、実際にそれは津波・洪水で川の氾濫というところで、じゃあどんな災害を想定しているのかといったところに対して、きちんとその都度、明確な説明が出ていないと認識しています。さらには、やはりハザードマップと照らし合わせたときに、つじつまが合っていないよというご指摘に対しても、明確な答弁がされていません。

  そういった観点から、やはり一貫性がない。そこに対して必要というところがきちんと理解できるぐらいの説明ができていない。このような点から、宮下連絡線については、行政側の説明に一貫性がないと感じ、この事業は中止すべきと考えています。

● 大里議員の質問

宮下連絡線の避難路としての対応、これは水防法の一部改正に伴って、大阪府もハザードマップ等を改定してると思うんですけれども、それ以上にこの件に関しては、地域からの要望、古くからお寺や神社等への参拝連絡線として利用されており、ただいま狭路部分があり、一般には通行しにくい状況である。その部分を含めて循環路として整備してほしい。また隣接する平野池に関しても水漏れ等が発生しているため、その辺も含めて整備してほしいという要望があり、これは昨年度、谷地議員が提案した動議のときに私も言わせてもらったんですけども、古くから利用している道路に関して、狭く、劣化も厳しい、そういう生活道路として、今、利用者が少ない、これは利用できないから少ないんやと思います。利用できない道路をもうちょっと利用できるためにしていくという考え方はないんでしょうか。

● 谷地議員の答弁

確かにおっしゃるとおり、利用しづらいから利用されていないという考えも一定あり得るのかなと思います。しかし、理智院棟に行く方が通ると考えた場合には、私も説明させていただいたとおり、歴史街道線が既に通っているんです。なので、そこを通ればいいというふうに私は考えています。歴史街道線からすぐ近くにもう1本道路を整備する、その必要性というところに関して、確かに財政が非常に豊かで財源にも余裕があるのであれば、できる限り住民さんの要望に応えていく、それは非常に大事だと思います。しかし、今、岬町の置かれている状況は厳しい財政状況なんです。職員さんの人員が削減され、・・・カットされる。それぐらい差し迫っている状況で、今、住民さんの利便性というところ、そこは確かにできればいいと思います。しかし、今、庁舎整備、地震への対策とかもできていない状況で優先すべきところはそこなのかということなんです。優先度を考えたときに、確かに住民さんの要望もずっと出てきた、経緯も理解しますけれども、今、最優先してすべきものではないというふうに私は考えています。

● 大里議員の質問

先ほどから、利便性、利便性とおっしゃるんですけれども、生活道路は利便性じゃなしに、生活に必要な道路だと思うんですけど、その辺についてはどう思われますでしょうか。

● 谷地議員の答弁

実際に、私が近隣で生活しているというわけではないので、じゃあそこでどれだけ生活の不自由を感じているかというところまでは、私自身は確かに感じることができていない部分もあると思います。しかし、全く通ることができないというわけではないですし、実際に逆に、どれだけの人がそこに対して不自由さを抱えて、その必要性があるのか。逆にこれは行政側から説明がされていないんです。議会としては。必要性が高いということに関して、本当にそこに対して、議会に納得できるような説明があるのであれば、逆に委員会審査のときにきちんと行政側から説明があるべきだと思います。

  確かに大里議員がおっしゃるとおり、生活道路としての利便性はすごく大事です。しかし私自身は、そこに対しての必要性というところは、実際に自分が通っても、一応通れるのは通れる、確かに車は通れない部分はある。しかし、そこに対して、今すべきかというところに対しては、実際に住民の方からもそこに対しての必要性を疑問視する声も多く聞いている中、今すべきではないというふうに考えています。

● 谷崎議員の質問

谷地議員に対する質疑というよりも、この提案の数字の一人歩きがちょっと怖いなと思うんですが、これを行政側に内容とか聞くことはできるんですか、できないんですかこれは。

では谷地議員にお伺いします。予算について、宮下連絡道860万円、事業総計が1億7,000万円とありますが、これについての予算構成はご存じですか。町の単費ではないですね。かつ、移住定住促進の683万3,000円、通算で今まで2,420万円、これについてもやはり何らかの補助金があるのではないかと思っております。

  そうした数字を明確にしないと、これは全く全部町の負担になるような誤解を与えてしまうような金額であると、何のために町は努力してこの予算を取っているかという意味合いが隠れてしまうように思うんです。

  深日港連絡にしても、6,600万円、3,300万円が国で、870万円が岬町、洲本が870万円。また岬町の施設料は数十万円と、さらに乗船料見込みは1,500万円の見込みしております。乗船者数の努力によって事業を成り立たせていこうという考えだと思います。

  詳しく説明した上で、さらに・・・であると、必要であるというなら分かるんですけれども、この書き方では、ただ数字が大きくて、町に負担が大きいという誤解を与えてしまいますので、その辺りの内容を説明いただきたいと思います。

● 谷地議員の答弁

谷崎議員がおっしゃっているとおり、これは全額町の自主財源というものではないことは十分に理解しています。宮下連絡線においては、総事業費が1億7,000万円ぐらいという中で、多くが災害対策というところで国からの交付金あるということを理解しており、細かい数字の計算はすぐには出てこないんですけれども、それでもやっぱり数千万円かかると認識しています。この数千万円という金額が、岬町においては非常にやっぱり大きな影響を及ぼす金額だと考えています。

  深日洲本ライナー、こちらについても、谷崎議員がおっしゃるとおり、国の交付金等々が入るような事業になるんですけれども、こちらについては国の交付金が採択された場合には、その中できちんと効果が出るよう進めるべきというところで、ここで記載している6,600万円、確かにそこに対して乗船料収入、恐らく1,000万円ぐらいだったかなと思います。1,500万円。だけれども、じゃあ残りの金額5,000万円程度を洲本市と岬町で負担する。2市町で負担するというところ、ここに関しては明記している部分になるので、2,500万円を負担することになると、これも岬町にとっては大きい影響を及ぼすものと考えています。

今、町の負担は870万円プラス施設料という見込みになっていますね。

航路再生事業においては、国の交付金が採択されなかった場合において、これだけ負担があると記載していますので、ここについては特に、乗船収入の記載が入っていないというのは、それはご指摘のとおりだと思いますけれども、交付金がなかった場合のことを前提に書かせていただいているので、そこに大きなそごはないと考えてます。

● 内山 財政改革部長の予算案の説明

先ほどの町道宮下連絡線整備事業の財源についてのお話になりましたので、私のほうから答弁をさせていただきたいと思います。

  こちらの整備事業につきましては、まず財源につきましては、国庫支出金の社会資本整備総合交付金をまず充当するということになっています。残りの部分につきましては起債であります。過疎対策事業債を活用するということになっておりますので、基本的にはそちらの充当率が100%になりますので、単年度で見た場合には町の財源はほぼないというような状況になっております。

● 中原議員の説明

ご提案いただきました組替え動議の内容について詳しくご説明をいただきました。

  質問は、組替え動議の1点目、町道宮下連絡線整備事業に関わってまずお尋ねしたいと思います。優先的に実施すべき事業とは考え難いという点については、私も一定の理解ができるなと、先ほどのご説明を聞いて考えておりました。

  同様の視点から言いますと、淡輪の(仮称)美崎苑連絡線についても同じようなことが言えるのではないかなというふうに思っているんですが、提案者はそちらの(仮称)美崎苑連絡線の事業についてはどのようにお考えになるかお聞きしたいというのが1点目であります。

  2点目は、ごみ収集の見直しに関わってお尋ねいたします。まず、有価物としての売却収入を得ることができていないということなんですが、ちょっとここは私の理解を正確にしたいので確認いたします。過去の委員会等で、ご指摘のとおり、空き缶と空き瓶が同時の回収であって、分別されていない状況で事業者に運搬の委託を行っているということであります。それでそのときの委託料については、委託を受けた事業者が分別をして再利用する、要は売却益を得るということを前提とした委託料になっているのではなかったかなというふうに考えているんですが、ちょっと理解を正確にしたいので、その辺りについての確認をさせていただきたいということが1点です。

  それから、個別収集を実施し、有価物として売却できるようにするという提案でありまして、これはそのようにできたら有益なのではないかなというふうに思いながらお聞きしておりました。この個別収集というのは、具体的にどんなことをイメージされているのか、住民の皆さんに直接関わることでありますので、その点について、もし想定しておられることがあればお聞きしたいなと思います。

  それから、議会費の見直しに関わってお尋ねします。ご指摘は私もおおむね賛同するところがあります。その中で、議員視察の研修費用を削減と書かれておりまして、この削減の手法についてですが、何か具体的にお考えのことがあればお聞きしたいなと思います。例えば、この間行っている議会としての研修は、2泊3日かけて研修をさせていただいておりますが、例えばそれを1泊2日に短縮するとか、そういったことも削減案の中に入っているのかお聞きしたいなと思います。

  最後に、ご提案の内容については一考に値するなと感じるものが多くあるんですが、今、住民の皆さんが最も解決してほしいと思っていることは、やはり物価高への対応の問題だと思うんです。暮らしが非常に苦しい、厳しい局面に追い込まれているということだと思いますので、その点からいきますと、直接的に住民の暮らしを守るという提案については乏しいように感じざるを得ないという印象を持っております。この点について、何かお考えのことがあればお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

● 谷地議員の答弁

中原委員のご質問にお答えいたします。すみません、質問が結構多かったので、もしも抜けてたら言っていただきたいと思います。

  まず、美崎苑連絡線、こちらについては宮下連絡線と同様の考えから、その必要性をどう考えているのか、この点についてなんですけども、実際、私自身も美崎苑連絡線、これについてはどうなのかというところを少し考えました。美崎苑連絡線については、津波とか、そういった災害時に避難しやすいという観点だけではなく、緊急車両が早急にニソウ17区の端のところに行けるようにといった側面があると私は考えています。工程においては、宮下連絡線とはその重要性に少し差があるのかなというところで、美崎苑連絡線については、この組替え動議の中で中止という形の判断にはならなかったということになります。

  次に、ごみの分別、こちらの個別収集というのはどういったものを想定しているかという点についてですけれども、こちらは、現在、空き缶、空き瓶、これが同時に回収されている。これを個別回収する方法としては、今、空き缶・空き瓶は月に2回の収集になっているんですけれども、これを例えば、空き缶を月1で、瓶を月1という形で、当然、収集量がどれくらいかという精査は要るんですけれども、これならば恐らくいけるんじゃないかなと考えています。そうすることによって、確かに空き瓶となったときに、これが売却できるかというと、色別とかもあるので、そこについてはまた一定考えなきゃいけないとこがあるかなと思うんですけれども、アルミ缶、スチール缶、こういった売却できるものだけを個別に分けるということができたら、そのまま売却収入を得る仕組みができると考えています。

  続いて、議会費の部分に対する考えなんですけれども、この議員視察研修、これは中原議員がおっしゃるとおり、2泊3日というところ、さらには割と遠方のところにも行けるぐらいの予算を確保していると認識しています。そんな中で、私はこの議員視察研修よりも、まずは会議録作成、これを優先すべきでしょうと考えていて、だけれども、これが令和7年度だけじゃなく、今後もすることを考えた場合に、AI文字起こしソフトをすぐに使ってくださいとなると、これは議会事務局・・・になるんですね。じゃあどこで使えるか模索していきながら、使えるよう見いだせたら、その分はやっていく。これには時間がかかるんです。そうすることによって反訳費用もある程度時間をかけていけば減っていくと考えています。その間の議員視察研修においては、私も議員になっていろいろ視察に行きましたけれども、遠方でしか学べないというわけではないと思うんです。当然、関西圏、近畿圏という近い場所においても、当然いろんなことを学ぶことができます。今はオンライン視察という方法もあります。なので、遠方で2泊3日が絶対条件ではないと思うんです。その辺の視察の方法の見直しをすることによって、議員視察研修を削減することができると考えています。

  それとあとは、今、物価高というところで、住民さんの暮らしが非常に厳しい、ここに対する提案が薄いのではないかという部分、こちらに対しては、確かに中原議員のおっしゃるとおり、具体的に住民の暮らしをより豊かにするというか、住民の負担を少なくする提案が含まれていないというところは、それは確かに認識しています。ここについては、具体的にどれくらいの財源が確保できるかによるかなと思っていて、逆に今、組まれている事業、このままだと十分に予算を確保できないので、それ以外の住民さんの暮らしをサポートする事業はできていないという、そこが背景にあると思うんです。例えば、このごみ処理の部分とかは、恐らく収集頻度を減らすことができたら、もしかしたら、1,000万円ないし売却収入を含めたら2,000万円という大きい金額の財源を確保できるのではないかと考えています。そうなった場合に、この財源を、新しい住民の暮らしを支える、そしてその暮らしをサポートする、負担を軽減する、そういった事業にシフトできるんじゃないかというふうに考えます。

私自身の認識は、空き缶・空き瓶をそのまま業者が持っていったときに、業者がそこで売却した費用は特に考慮されていないと認識しています。実際に回収した後のことは、どれだけ売却したかは、そこは行政側では把握できてない。だから量も分からないといった状況だったかなと思っています。そこは、すみません、行政側との認識の差があったら申し訳ないです。もし訂正があればお願いします。

▶︎質疑が終了 これより討論開始

● 瀧見議員:「組み替え動議」反対討論

この組替え動議に関しまして、反対の立場から討論をさせていただきます。

  まずは、町道宮下連絡線整備事業に関しまして、地元からの高台避難への避難所としての早期整備要望を無視するもので、これを中止することは人命を軽視しかねないことでもあると思われます。

  また、深日洲本ライナーに関しましても、平成29年より7年間の継続実績もあり、また、提案者のほうから利用者も増えているというコメントもございましたように、徐々に増えているというのを鑑みましても、簡単に、予算がつかなかったら中止ということに関しましても、少し疑問のところがあります。

  それとあと、先ほど私が質問させていただきました人員削減に関しましては、会計年度任用職員が一度に10名切られるということで、大変多くの人が切られるんじゃないかというようなお話でございましたが、分母を教えていただきたかったんです。分母が幾つに対しての10名なのかということで、当然、厳しい財政というのは我々議員全員が認識しているところでございます。その我々に対しての説明の中で、何人に対しての10名なのかというのがちょっと分かりにくかった。それと、この動議の趣旨からちょっと外れるような気がしましたので、反対とさせていただきたいのですけれども、動議の内容自体は、内容に関しましても非常によく調べられていて、動議のこの文章の内容に関しては非常によくできたものだと思われますが、今回は反対とさせていただきます。

● 松尾:「組み替え動議」賛成討論

谷地議員の令和7年度一般会計予算の組替えを求める動議案について、賛成する立場で討論に加わります。

  まずは、1番の事業中止による歳出の削減に挙げられております町道宮下連絡線整備事業、そして移住定住促進PR番組制作放送事業、そして、深日洲本ライナーの航路再生事業、これについては、谷地議員の提案のとおり、町行政から必要性に対する正当な理由と明確な定量的根拠が示されていなかったため、今現在、逼迫した財政難である岬町を鑑みて、定量的根拠が明確にない中で、安易に事業を認めるわけにはいかないと考え、私も事業を中止すべきものと考えております。

  町道宮下連絡線整備事業については、近隣の住民の方々へ聞き取り調査などをしましたけれども、多くの方が知らない、または必要性を感じていないということです。災害時の避難の基本は、徒歩での避難です。現在は徒歩での移動が無理なくできる状況で、私もここを、バイクでも何度も通っております。今でも十分に役割を果たせると考えるため、優先的に、ここを優先的に多額の工事費をつぎ込んで、税金を投入すべきではないというふうに考えます。

  瀧見議員は先ほど、これを中止するのは人命軽視じゃないかということおっしゃいましたが、その定量的根拠が行政から示されていない中、それは言い過ぎではないかなと私は考えております。

  移住定住促進PR番組の制作放送事業と深日洲本ライナーである航路再生事業については、これは3つ共通して言えることがあるかなと私は考えております。一つは、この事業単体での目標設定ややめる基準というものが明確にされていないこと。そして2つ目に、結果をほとんど出せていないということです。投入した税金に見合った事業なのかどうかということです。3つ目に、結果を出せていないことに対して、効果検証を経ずに、ほとんど同じことを繰り返しているという現状があると。これでは有効な税金の使い方ではないと考えるため、事業を中止すべきものと私は考えております。

  そして2番目のごみ収集の見直しについては、これは以前より私もあらゆる場面でごみの削減を促進する政策であったりとか、資源ごみのリサイクル率を高める政策、また、ごみ収集や処理費用の削減につながる政策などを提案してまいりました。特にアルミ缶の扱いについては、有価物としての価値があるにもかかわらず、最終処分場で処分されているということについて、これほどまでに逼迫した財政難である岬町であれば、何としてでも売却益を出すべきであり、そしてその売却益を元に住民サービスを拡充していくことが絶対必要だと私は考えております。その仕組みづくりというのは、谷地議員の提案で十分可能であると私は考えております。

  そして3つ目、議会費の見直しについては、議会で行われる会議の全てにおいて会議録を作成することが、議会でこれは決まっているにもかかわらず、それを無視して予算を大幅に削減し、残りはAI文字起こしソフトを使いなさいという行政の一方的な意見というか、そんな態度を許すわけにはいきません。AI文字起こしソフトは、議会改革特別委員会で十分な議論がなされ、使えるとするなら限定的で、議会の会議録としての使用は難しいという判断になったにもかかわらず、一方的にそのソフトを使った予算組みをすること自体、議会軽視、そして住民軽視であると言わざるを得ません。これは先ほど、内山部長より前もって議会へ相談しているとのことですけれども、少なくとも、私をはじめ、一切そんな内容になるとは聞いてもいないという議員も多く、相談も、少なくとも私は受けておりません。よって、議会軽視、住民軽視と言わざるを得ません。谷地議員の提案のとおり見直すべきと私も考えております。

  そして4つ目、南海トラフ巨大地震に備えた災害対策の実施についても、私は、会派みさき新時代として、今回の会派代表質問の中でもデータを披露させていただきましたけれども、全国の公共施設はもう既に96.2%耐震化できているにもかかわらず、岬町は残りのこの少ない3.8%の中に3つの大きな施設が入っているという衝撃的な事実、これが現実なんですよ。さらに淡輪公民館と青少年センターにおいては、耐震診断も未実施という、こんな現実もあるにもかかわらず、役場庁舎や淡輪公民館、そして青少年センターなど、耐震化できていない公共施設の更新について、令和7年度についても積極的に進める考えがない今の町政が分かりました。

  住民や職員の命を何より大切にすべきであり、これを後回しにする町政のそんな方針や考えは、私は危険と言わざるを得ません。早急に基金の積立ての増額と青少年センターと淡輪公民館の耐震診断を実施すべきと考えております。この施設、両方とも少ない利用者ではありません。非常に多い住民の方が利用されているわけです。早急に実施をすべきと考えております。

  そして最後5番目、職員の人員削減及び管理職手当10%カットの中止について、逼迫した財政難の岬町の中で、その理由で仕方なくカットするとのことですけれども、働き方の具体的な改革が示されていない中での実施は、1人の職員にかかる負担が増大し、職場内の環境劣化となり、メンタルヘルスの悪化、そしてハラスメント発生の原因になるわけです。また、職場内環境の劣化は、住民サービスの低下を招きます。逼迫した財政難という理由で、安易に職員の削減と、管理職手当の10%カットを先にするのではなくて、どうしたら今の人員で効率よく生産性を高められるのかを日頃より検討していっておくべきものだと私は考えております。

  以上を、谷地議員の提案は本当に民間企業では当たり前にすべきことをだと私は考えておりまして、どれも根拠に基づいた合理的な提案であるため、令和7年度一般会計予算の組替えを求める動議案に賛成といたします。

● 大里議員:「組み替え動議」反対討論

令和7年度一般会計予算の組替えを求める動議について、反対の立場で討論させていただきます。

  令和7年度一般会計予算については、先ほど、事業委員長、厚生委員長、総務文教委員長の報告にもありましたが、各委員会に付託され、十分過ぎるぐらい慎重な審議がなされ、挙手多数で可決されています。その内容は、住民生活に直結した内容のものばかりです。

  谷地議員がおっしゃるように、厳しい、厳しい財政の中、いつ発生するか分からない南海トラフ地震に対する施設の耐震化対策はもちろん必要なものです。しかし、人口減少が大きな問題である本町において、岬を知ってもらうきっかけになるPR番組の制作と放送事業は引き続き取り組むべきであり、実際、子育て世代の方々が岬町を選んで移住してくれています。このような移住を考えている方々に岬町の魅力が届くように、絶え間なく発信し続ける、そういうことは必要だと思います。

  また、国からの交付金を活用した深日洲本ライナーの航路再生事業も、町の活性化だけではなく、減便された多奈川線の利用促進と維持のために必要な取組だと考えております。

  そして、施設の耐震化とともに、生活道路であるとともに、津波や洪水などの災害発生時には、避難路となる道路整備は、地元住民にとっては必要不可欠なものです。先ほど、町道宮下線は生活道路として利用する人が非常に少ないと言われましたが、現在の町道岬町宮下線は、理智院や興善寺など、町道多奈川歴史街道とつながってはいますが、道幅が狭く通行しづらい状況です。そのために地元からの要望も出ております。地域の方々をはじめ、住民の方々が安心して通れる道、それを整備することは地元地域も望んでおります。また、災害発生時には避難しづらい現状です。今年は阪神大震災から30年、また昨年、岬町議会で東日本大震災の被災地でもある陸前高田、大津町へ行かせていただきました。そこで現地の議員の方々や語り上の方々から避難、特に高台避難の難しさを教えていただきました。実際に高台避難も歩かせていただきました。高台の下まで来て、狭い上り坂を見上げて、避難するのをためらっていた高齢者が何人もいたと聞かされました。避難においては、先ほど松尾議員がおっしゃったように、徒歩での避難が基本ですが、高齢者や体の不自由な方々にとっては、リヤカーや車での避難も考慮した避難路にしなければならないと思います。一人でも多くの住民を救うことができない、こういうことを東日本で学ばせていただいたのではないでしょうか。想定される災害では大丈夫だとおっしゃっていますが、大津町も陸前高田市も想定外の津波がやってきました。また、近年の水害では、洪水と内水氾濫が同時に起こり被害が拡大するケースが目立っています。2023年に秋田県を襲った記録的な大雨では、秋田市を流れる大平川の氾濫と内水氾濫が重なり、全壊、半壊、浸水といった住宅街が6,100棟にも及んでいます。

  先日の一般質問ときにも言わせていただきましたが、不動から避難所となる多奈川小学校へ続く、町道平野線、大雨のときには冠水のおそれがあります。小学校はグラウンドが6.5メートル、屋上が11.25メートル、想定では大丈夫です。しかし、想定外を予想した訓練を小学生の子どもたちも一生懸命やっております。先日も寒い中、6年生の児童が1年生の手を自分のカイロで温めながら、宮下線で避難訓練をしていたそうです。子どもたちから高齢者まで逃げ遅れゼロにするためにも、できる限り早期の整備をお願いしたいものです。

  このようなことから、子どもから子育て世代、高齢者の方々まで、幅広く組み込まれた予算に対して、住民の安心・安全を守る予算を削った令和7年度一般会計予算に対する組替えを求める動議に反対させていただきます。

● 早川議員:「組み替え動議」反対討論

令和7年度岬町一般会計予算組替え動議について、反対の立場で討論させていただきます。

  組替え動議中にあります職員の人員削減の見直し、また管理職手当10%のカットの中止は、私も一般質問で取り上げさせていただき、提案者と同じ思いであります。また、南海トラフ巨大地震に備えた災害対策の実施も早急に進めるべき案件だと思います。

  しかし、削減を提案されている移住定住促進PR番組作成放送事業については、説明の中で、移住者の転入のきっかけがPR番組という人が、アンケートを取った結果、ゼロ人という状況であるという説明がありましたが、私は、この番組を見て町内の飲食店に訪れたという方にたくさんお会いしたり、また、長蛇の列になっている店も見ております。また、番組で紹介された商品の購入で道の駅などを訪れたという声もたくさん耳にし、岬町に訪れる交流人口の増加には大いに効果を発揮していると思います。

  また、航路再生事業、深日洲本ライナー事業についても、深日活性化・空港対策委員会でも発言させていただきましたが、深日洲本ライナーがあることで、6,000人以上の方が多奈川線を利用されており、利用者が少なくなり減便に至っている多田川線を今後残していくためにも、また住民の方の生活を支える大切な交通手段である多奈川線の利用促進が図られる航路再生事業は中止すべきではないと考えております。

  以上の考えにより、反対とさせていただきます。

● 中原議員:「組み替え動議」反対討論

令和7年度一般会計予算の組替えを求める動議に対して、賛否決し難いところで、非常に悩ましいと思うのですが、全面的な賛同には至らないと判断せざるを得ない考えるところであります。

  先ほど、質疑を通じて、(仮称)美崎苑連絡線についてのお考えをお聞きしました。緊急車両等の通行のことを考えたとおっしゃっておられて、もちろん、道はたくさんあるほうがいいにこしたことはないということは、私も同じ考えでありますが、(仮称)美崎苑連絡線においては、海岸連絡線もありますし、住宅内の道路についても一定の整備がなされておりますので、この道がどうしても優先順位が高いというふうには私には考えにくいという点で少し立場が異なるのかなとお聞きしておりました。

  議会費の見直しにおいては、主張されている、全ての会議録を作成するということは議会としての責任であると考えておりますので、その方策も含めて、今後も検討が必要だと思いますし、できるだけ早い予算化をこの場で改めて求めたいと思います。

  災害対策の実施、また、職員の人件費の削減に係る提起については、立場を同じくするところでありますが、予算規模について不明瞭な点があり、財源の確保も必要であるという点から、実現性について若干の疑問符をつけざるを得ないというふうに考えるところであります。

  そして何よりも、質問させていただきましたが、直接的に住民の暮らしを守るという提案がこの中では乏しいように感じざるを得ないという点がありますので、最初に申し上げたとおり、全面的な賛同には至らないと判断せざるを得ないという立場でございます。

▶︎採決の結果

賛成者: 松尾・谷地

反対者: 大里・早川・中原・坂原・奥野・道工・谷崎・出口・瀧見

敬称略)

起立少数により、「令和7年度一般会計予算の組替えを求める動議案」は否決」

続いてR7年度岬町一般会計予算についての討論

● 中原議員:反対討論

議案第5号、令和7年度岬町一般会計予算について、賛同しかねる立場から討論に加わりたいと思います。

  来年度予算においては、住民の願いに応えるきめ細やかな住民向けの事業が盛り込まれており、前向きに評価できると考える施策を認めるものであります。

  新規施策として、小児慢性特定疾病児童の日常生活用具の給付や電車で通学する小・中学生の通学費を支援する遠距離通学支援事業、フリースクール等に通う子どもたちの利用料への一部補助、飼主のいない猫の繁殖を抑制するための不妊去勢手術への助成などが予算化され、住民に歓迎されるものと考えております。

  子育て支援策では、保育所の保育料については、ゼロから2歳の第1子の課税世帯の保育料は、半額とはいえ、減免を継続し、保育所やこども園においても、副食も含む給食費の無料化を続けられる予定であります。学校給食費においては、小学校に続き、来年度は中学校においても完全無償化が実施されるという大きな前進が図られる計画であり、子育て家庭を経済的に支える前向きな姿勢を感じるものであります。

  高齢者補聴器購入補助事業については、制度が開始された昨年度は7人、今年度は8人が利用されており、難聴による弊害や認知症リスクを減らし、生活の質の向上に寄与するものと評価するものであります。対象者や補助費用の拡大など、制度の拡充を期待するものであります。

  物価高騰対策として、お米券の配布事業は、物価高騰による長引く打撃を受けている住民生活を支えるものとして大いに歓迎されるものであります。

  自衛隊から高校卒業年代へのリクルート活動のために、氏名や住所などの個人情報の紙や電子媒体での提供が求められていることに対して、岬町が提供していないことは大いに評価するものであります。

  幅広い分野において、住民の願いに応える意欲的な事業が数多く認められるところではありますが、終わりの見えない物価高と低年金、低賃金の下に置かれている住民に対し、残念ながら、将来への希望や暮らしへの安心を感じさせる予算となっているとは言えず、賛成しかねる立場であります。

  大阪・関西万博を推進する予算は認め難いものと考えます。一般質問でも指摘したとおり、有毒ガスが高濃度で発生し続けている夢洲に小・中学生を遠足で連れていくことは、子どもたちの命を危険にさらす行為であります。万博遠足は教員に多大な負担を押しつけ、子どもたちと保護者に分断を持ち込むものであり、今からでも中止の英断を行うべきであります。万博開幕3週間前の時点においても、パビリオンは2割しか完成しておらず、建設労働者に健康を害するほどの苛酷な労働が強いられています。チケットは目標の1,400万枚に対して、800万枚程度しか売れておらず、世論調査でもおよそ75%が行かないと答えるなど、赤字が目に見えています。そのツケが府民に押しつけられる懸念があります。万国博覧会の理念には賛同するものでありますが、夢洲を会場にした万博は行うべきではありません。現役の廃棄物処分場である夢洲は、そもそも巨大イベントを行うような場所にはなり得ず、今ではカジノ事業のためであったことが明白となっています。このような事業を推進するために税金を投入することは認め難いと考えるものであります。

  また、国が進めるデジタル化に付き従わされ、マイナンバーカードの推進や行政の様々なシステムの標準化が膨大な費用をかけて進められております。来年度においては、戸籍を振り仮名を記載する事業を予定されており、氏名という個人の人格を象徴する重要な事務が発生します。懸念されるのは、膨大な事務量による誤入力や新たに生まれた子どもに希望する振り仮名が認められない可能性があるという点であります。行政が示す一般的な読み方でない場合、審査されることになり、命名権の侵害に当たりかねません。国が強行するデジタル化によって、職員がさらに疲弊させられ、住民から命名権を奪う懸念のある事業は進めるべきではありません。

  さらに、第4次集中改革プランの案で示された職員定数の抑制と非正規職員の減少による影響が懸念されます。住民全体の奉仕者として働く職員の皆さんの健康や労働意欲が低下し、住民サービスの低下を招きかねない計画であることを指摘しなければなりません。

  住民の関心の高い新たな岬公園事業や公民館・図書館建設事業について、住民にとっては目に見える進展が感じられない状況が続いております。庁舎の耐震化についても、住民からの要望が寄せられております。様々な事情があってのこととお察ししますが、住民の期待に応える各事業の推進を改めてこの場で求めたいと思います。

  国政においては、軍事費の膨大により暮らしを守る予算が削られ、教育も医療も社会保障も貧しくされています。大阪府政においては、大阪・関西万博に人材も予算もつぎ込まれる一方で、日本一高い水準の統一保険料が押しつけられています。国や府に付き従っていては、住民の命と暮らしを守ることはできません。

  住民に最も身近な地方自治体として、その役割が十分発揮されているとは残念ながら言えず、来年度予算には賛成しかねる立場であります。

● 瀧見議員:反対討論

令和7年当初予算について、賛成の立場から討論をさせていただきます。

  物価高騰対策及びいろいろな方面に事細かく住民に配慮した予算を組んでいただいております。

  また、先ほど、ほぼ全部中原議員がおっしゃったことなんですけども、物価高騰対策に関して、お米券とか遠距離通学保障だとか、個々に細かいところまで配慮いただき、大変住民に寄り添った予算を組まれているなということを痛感いたしました。

  よって、令和7年当初予算に賛成とさせていただきます。

● 松尾:反対討論

令和7年度一般会計予算について、反対の立場で討論に加わります。先ほどの組替え動議案の賛成討論とかぶるところがありますけれども、ご了承ください。

  まずは、町道宮下連絡線整備事業について、この件については、3月7日の事業委員会で、私からもかなりの質問をした後、討論をさせていただいたと思いますけれども、必要性に対する正当な理由と明確な定量的根拠が示されなかったため、容認できないと考えております。この事業について、先の事業委員会で、生活道路として必要だという理由と、過去に東川の氾濫や洪水が起きたことによる水害から逃げ場をつくるためという2つの理由で必要性を訴えられました。しかし、生活道路として利用する方がどのくらいいるのかというのも分かっておりません。私も近隣の住民の方々へ聞き取り調査をしましたが、ほとんどの方が必要性を感じないという結果でありました。また、現在、東川の氾濫や洪水の可能性、危険性を調査しましたが、谷地議員が言われたとおり、既に大阪府が堤防や護岸の復旧工事、そして防潮堤も完成して、洪水の危険性は大阪府の河川整備計画でも記されているように、ほぼないと言えます。また、過去に起きたとされる土砂崩れには、大きな砂防堰堤が完成しているため、そのリスクもないように思います。

  一方で、宮下連絡線の先にある大興善寺などの付近は、急傾斜地の土砂災害特別区域内であり、一時避難所にも指定されていないところで、ここを通って避難させること自体が危険と考えることもできるかなと思います。また、災害時の避難の基本は、徒歩での避難です。現在は無理なく移動できるかなと思っております。今でも十分に役割を果たせると考えるため、優先的にここへ工事費含むトータルで多額の税金を投入すべきではないと考えます。岬町総合防災マップで確認すると分かるように、洪水や土砂災害、高潮、津波のそれぞれのハザードマップを確認しても、多奈川・平野地区においては、耐震化された多奈川小学校への避難が一番安全だと考えております。

  以上のことから、非常に逼迫した町財政の岬町において、計画策定から工事に至るまでのトータルでの事業費が多額に上る税金をここに費やす必要は、住民目線から考えると、限りなく低いのではないかと考えます。むしろ、ここより優先的にすべきこととして、岬町総合防災マップで記されている津波や高潮、洪水のリスクの高い深日地区や多奈川地区の沿岸部の避難場所とか、避難道路の整備を急ぐべきではないかと私は考えております。

  またさらに、今、自主防災の役割と地域での備えの重要性が問われている事件が今年発生しました。これは特に細い路地、住宅が密集している地域で今後一層求められるものと考えますが、それは今年に起きた淡輪地区での家屋全焼火災についてであります。消防署や消防団が到着して放水より先に、消火栓を使って住民が協力して放水作業をし、私も加わりましたけれども、被害の拡大を防げましたけれども、ここで問題も浮き彫りとなっております。それは、各地区に配備されている赤色のホース格納箱に格納されているホースの経年劣化です。ホースのあちこちに穴が空いて、そこから水が飛び出すありさまで、使えないものもあったと聞いております。このホースは自治区が管理し、更新しないといけないことになっているそうなんですけれども、どれだけの住民がそれを理解できているでしょうか。人口の少ない地域では更新できずに、格納箱共々撤去したところもあると聞いております。

  協働のまちづくりを掲げている岬町ですが、これでは協働どころか、逆行していると言わざるを得ません。行政は自治区のやるべきことだと突き放すのではなく、それこそ町は、自主防災の意識を高めて、自主防災組織を増やそうとしている中で、各自治区の方々と相談しながら、町内の消火ホースを順次更新するための予算をつけるほうが、現実的に住民の自主防災意識を高められて、災害から住民の命を守ることにつながるので、こちらを優先的にすべきと私は考えております。

  そして、移住定住促進PR番組制作放送事業についても、過去3年半実施し、2,500万円もの税金を投入したにもかかわらず、アンケートでは、これをきっかけに移住したという人がゼロ人だったということが分かっております。これはあくまで移住定住にフォーカスした番組放送であって、それがアンケートでゼロであったということですよね。今までやってきたことに結果が伴わないのであれば、一旦事業を見直して、新たな方法や手段でアプローチしていくことが今後重要だと考えます。

  今の町政は、効果検証もやめる決断もできずにいると私は考えております。だから、効果的な新たな方策も立てられない。これでは税金を有効に使っているとは言い難く、本当に移住定住を促進できるはずもないと私は考えます。逼迫した財政難なのであればなおさら、一旦立ち止まって効果検証をしっかりし、これからどうすべきなのか、自分たちで考えて、そろそろ自分たちでトライしていくべきときに来ていると考えております。

  深日洲本ライナーの航路再生事業もしかりです。ほとんど変わり映えのない方法で事業を7年間実施されましたが、1便に76人乗らないと民間ベースで赤字のところ、20人に満たない乗船者数では、どう考えても民間事業で持続可能な運営をできるはずがありません。来年度は船舶が大きくなり事業費も拡大し、乗船料も値上げする方法で、国へ社会実験の申請をしているということですが、民間での運営が可能になる乗船者数を確保する決定的な方策が全くない中、さらに風呂敷を大きく広げてどうするのかと疑っております。旧来とほとんど変わらない事業内容で、毎便満席近くまで急激に利用者を増やせるのでしょうか。私は到底思えません。航路の復活が本当に深日港の活性化になってきたのか。長年実施してきましたが、到底私はそうは思えません。

  この事業で通過されるだけの岬町、人も物もお金も町の中で循環できておりません。岬町に恩恵がほとんどない、ほとんど生んでいないこの事業に、多くの住民は納得していません。何のため、誰のための事業をするのか、そこに岬町民が置いてきぼりにされていると考えております。

  国がこの事業を採択しなかった場合は、即刻事業を中止し、そもそもの目的を一旦立ち止まって再考すべきと考えます。逼迫した財政難であればなおさら、一旦立ち止まって効果検証をしっかりし、これからどうすべきなのか、同じことを言いますけれども、自分たちで考えてトライしていくべきときに来ていると言えます。

  南海電鉄の多奈川線の利用が減るではないかという意見がありましたけれども、これは深日港活性化策は、何も航路再生だけではないんです。なぜ人が岬町に来ないのか、集まらないのか、単純明快です。岬町に来る目的や理由がないからです。であれば、先にすべきことはおのずと分かるはずです。岬町に来る目的や理由を一からつくること、それは旅の目的地づくりだと私は考えます。

  岩手県釜石市のDMOのように、観光地域づくり法人を設置したり、おもてなし事業に取り組む住民の発掘や支援などをして、住民主体でかせげる環境をつくること、そして、住民と行政の協働で共有したビジョンの実現と町のPRやプロモーションをしていく魅力ある旅の目的地づくりに予算をつぎ込むことを優先すべきと私は考えております。

  ごみ処理やごみの収集については、以前から何度も提案しているように、人件費や物価高騰などにより費用負担が増える一方であるために、今後は一層、有価物である空き缶や空き瓶など、資源ごみの売却収入の確保とともに、収集処分費用を削減する仕組みづくりを早急にすべきです。具体的には、空き缶・空き瓶の収集頻度を見直して個別収集を実施し、有価物として売却する仕組みにする。また、その他ごみの収集方法を見直し、ごみ収集と処分費用の削減を実現すべきです。もしくは、もしくはですよ、以前から提案しているように、各自治区に各資源ごみをリサイクル事業者が回収しにくる仕組みをつくることで、ごみ収集の回数を減らせます。これだけで処分費用の削減に貢献できると考えております。またさらに、その回収資源ごみは売却益として自治区に入るので、自治区運営が豊かになる仕組みづくりが可能となります。

  行政と住民が協働して、費用をかけることなく、仕組みづくりのみで実現できるはずの事業を、私は以前から何度も、何度も提案してきております。財政が逼迫しているのならなおさら、今の事業を一から見直し、新たなチャレンジ、そして改革すべきと考えております。

  議会で行われる会議の全てにおいて会議録を作成することが議会で決まっているにもかかわらず、それを無視し予算を大幅に削減し、一部の会議のみ、しかも年間予算ではなく、半年にも満たないかもしれない予算が計上されており、残りはAI文字起こしソフトを使いなさいという行政のそんな乱暴な態度を許すわけにはいきません。AI文字起こしソフトは、議会改革特別委員会で十分な議論がなされ、使えるとするなら限定的で、議会の会議録としての使用は難しいという判断になったにもかかわらず、一方的にそのソフトを使った予算組みをすること自体、議会軽視、そして住民軽視であると言わざるを得ません。また言論の府である議会で行われる全ての会議の会議録は速やかに住民へ開示すべきものですけれども、それが今までどおりできるのか、先行きが極めて不透明であるため、決して許せるものではありません。

  役場庁舎や淡輪公民館、青少年センターなど、耐震ができていない公共施設の更新についても、令和7年度については積極的に進める考えがないことが分かりました。全国の公共施設は、先ほども言いましたけれども、96.2%が耐震化できているにもかかわらず、岬町は残り3.8%の中に3つの大きな施設が入っているという衝撃的な事実、さらに淡輪公民館館と青少年センターにおいては、耐震診断未実施という現実、耐震診断未実施施設は全国で1.2%しかないんです。その中にこの2つの大きな施設が入っていること自体、今の町政は、この施設を利用する多くの住民やそこで働く職員の命を守ろうとする意識や意思がないのかと私は疑ってしまいます。

  また、再三にわたり、全職員分のヘルメットの予算要求をして、今までもありましたけれども、それすら付けられていない町の状況、そして方針は、これでは大規模災害時に住民の命を守れるはずがありません。逼迫した財政難であればなおさら、それこそ町道宮下連絡線整備事業より優先すべきものと私は考えております。

  職員の削減と管理職手当の10%カットについて、逼迫した財政難の理由で、仕方なくカットするとのことですが、働き方の具体的な改革が示されていない中での実施は、一人の職員に係る負担が増大し、職場内の環境劣化となり、メンタルヘルスの悪化、そしてハラスメント発生の原因になります。また、職場内環境の劣化は住民サービスの低下を招きます。逼迫した財政難という理由で、安易に職員の削減と管理職手当の10%カットを先にするのではなく、どうしたら今の人員で効率よく生産性を高められるのかを先に検討すべきであり、それが信頼できる職場の人間関係を生み、ひいては住民から信頼できる行政へと変われるものと私は確信しております。

  各項目内で、一律何%カットを実施するという予算組み、そして予算削減の手法は、言い換えると、今の調整に明確なビジョンがないことを示していると私は考えます。今後も新たな歳入事業が見込めない中、削減、縮減を続ける町政では、夢も希望も未来も見えないと私は考えております。

  10年前に消滅可能性自治体になり、5年前に過疎地域に、そして今年度より深刻な財政難を迎えております。課題は解決されず山積する中、その解決法のど真ん中に位置するのは、やはり抜本的な見直しと改革であり、歳入を増やす新しい仕組みや人口増を狙う斬新な政策を考え実行すること、挑戦し続けること以外にないと私は考えます。

  私は議会で様々なまちの活性化策と人口増加策、また歳入の増加策などの施策を数多く提案してまいりました。そしてそのほとんどが税金を費やさずに、使わずに、やる気があれば取組を始められる、これも全部仕組みづくりです。仕組みづくりです。今まで何度も言いました。学校給食の食材の地産地消化の仕組みづくりの提案をはじめ、空き家バンク登録の物件をお試し居住精度で利用できるようにする仕組みや数々の制度を提案してまいりました。本気で住民のため、町のためを思い、財政を立て直すお考えがあるのなら、改めて私が提案してきたかせぐ仕組みづくりをしっかり検討いただき、それらにチャレンジしていくことを求めます。なぜなら、チャレンジしないことイコール現状維持、これは今の時代、衰退を意味します。チャレンジしないと見えてくるものもありません。新しいことにチャレンジしない姿勢は、今後さらに町を衰退させ、財政を逼迫させ、町を今よりさらに危機的状況にさせるのは明白です。

  各事業に対し、効果をしっかりと検証し、先の見えない見込みがないものは潔く切る。そして、見直した予算で新たなチャレンジをしていく。逼迫した危機的な財政ならなおさらそれをちゃんとやっていただきたいなと切に願います。

  住み続けたいと思いを持ってもらえる公平公正な行政サービスを展開できるよう、必要のない結果が出ていない事業を見直し、予算を徹底的に管理し、なおかつ必要な事業に転換していくことを切に願いまして、反対討論といたします。

● 谷地議員:反対討論

令和7年度一般会計予算について、反対の立場で討論をさせていただきます。

  私は、先ほど組替え動議を提出させていただいた立場ですので、私の考えてることを多く述べることはこの場では控えたいと思います。

  組替え動議の際に多くの議員の方々から様々なご意見をいただきました。一部の事業に対して、それぞれ議員の方々の考えが違うこと、それは当然でありますし、中にはなるほどという形で理解できるところもありました。

  令和7年度一般会計予算、こちらについては、組替え動議でも述べさせていただきましたけれども、我々議員が以前に提案させていただいた様々な事業が含まれており、また、住民に寄り添ったきめ細やかな事業も含まれております。そういった部分では、本当に評価できることはたくさんあると考えています。

  しかしそんな中で、今回、私は組替え動議を出させていただき、その中で様々なご意見を各議員からいただきました。中には、やっぱりこの部分は自分の考えと違う、この部分は賛成だという意見もいただきました。そうなった場合に、特に職員の人員削減、そして管理職手当の10%カット、そしてこの庁舎の耐震化、庁舎整備ができていない、これについては多くの議員の方々が、さきの組替え動議においても、同じ考えであるといった形で意見を述べられています。そうであれば、私の組替え動議に関しては、残念ながら否決されてしまいましたけれども、今回の予算については、やはりきちんと自分の意見として懸念する部分があるのであれば、反対すべきだと思います。

  改めて言います。沈黙は容認です。ここできちんと懸念があることに対して自分の意見を表明しなければ、それは全てを認めているということになります。やはり見直してほしい、そういったものがあるのであれば、しっかりと反対をし、そして行政にもう一度考えていただく、そういった判断を議会として各議員がすべきだと考えます。

  本当にこの予算、厳しい財政状況の中、本当に職員の方が苦労されて予算編成されたということは、それは本当に重々承知していますし、そこは本当にありがたいなと考えてます。しかし、見直しが必要な部分、そこに関してはしっかりと見直しをしていただきたい、そのように考え、反対討論とさせていただきます。

▶︎採決の結果

賛成者: 大里・早川・坂原・奥野・道工・谷崎・出口・瀧見

反対者: 松尾・谷地・中原 敬称略)

起立多数により、「令和7年度岬町一般会計予算」は可決」

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