大阪府泉南郡岬町淡輪4733
072-494-0063
mail@t-matsuo.net

R7年12月岬町議会一般質問/深日航路再生事業の目的と目標、7年行った結果の総括と今後について

R7年12月岬町議会一般質問/深日航路再生事業の目的と目標、7年行った結果の総括と今後について

質問の主旨

H29年から7年おこなった深日航路再生事業。

そもそもの「目的」と「目標」は何なのか?

事業の収支や財源も明らかにし、住民が納得いくものなのか検証します。

そして、今までの「実験結果」をあらゆる角度で分析した上で、「成果」と「課題」は何かを明らかにし、「目標」の実現可能性を検証するとともに、
事業の今後について、どう考えているのか、お聞きします。

岬町議会議員 松尾 匡(まつお ただし)の質問

深日航路再生事業の目的と目標、そして7年行った結果の総括と今後についてでありますけれども、平成29年度から今年度まで、7年行ってきた深日航路再生事業であります。

今年度も5,530万円の予算をかけて実施されてきましたが、予算では乗船料の収入が1,050万円ということを見込まれておりですね、その内訳として、1便当たり約14人の利用があった昨年度の実績を基にして見込んでおられるということなのですよね。

さて、この事業ですが、そもそもこの事業単体の目的と目標は何なのかお答えください。

● 川端 まちづくり戦略室長

航路再生事業は乗船者数などを目的や目標に設定するのではなく、長期的なまちづくりにおける最上位計画である第5次岬町総合計画の基本方針の一つとして定めています定住交流政策を進めることを目的としております。

その総合計画での重点政策を定めている岬町デジタル田園都市構想総合戦略では、新しい人の流れをつくり、定住と交流を促進することを基本目標としております。

この総合戦略では、移住者の潜在需要を開拓するため、観光振興や情報発信によって町の交流人口を拡大し、新しい人の流れを創出することで、2030年度には観光入り込み数数を100万人に増加させることを目標として掲げており、航路再生の取組は、その目標達成の一部を担っております。

加えて、大阪府市が作成しました大阪のまちづくりグランドデザインに基づく大阪広域ベイエリアまちづくりビジョンにおいても、この航路再生事業は、大阪湾のベイエリアの活性化に向けた重要な取組として位置づけられております。

岬町議会議員 松尾 匡(まつお ただし)の質問

この事業単体については、目的も目標も設定しないということですね。2030年度に町の観光入れ込み数を200万人に増加させることが、これは最上位である総合計画の目標であり、この取組は目標を達成するための手段なんだという位置づけであるというお答えかと思います。

これでは、今の時代ちょっとあり得ないと私は考えております。やる事業に対して基準となる目標を定めず、この事業が手段として妥当なのか、正解なのかどうかをどう判断するのでしょうかね。

感覚的に自画自賛するだけなんでしょうかね。このご回答の内容では、そもそもそんな判断する必要がないと考えていると捉えました。

私からすると、我々の大切な税金を使って行っている社会実験なわけですね。社会実験は特に費やした税金に見合う結果が出たかをしっかりと精査する必要があると思うのです、今の時代。

仮に乗船者が1人だったとしても、それに5,530万円を使い続けるのか、許されるのかということなのですが、そんな場合であれば誰1人として納得する住民さんはいらっしゃらないはずなんですよね。だから、基準が必要だと私は思います。

総合計画に書かれているから何でもやって正解というものではないと思います。多額の税金を費やしているのです。

単体の事業でも、やるからにはなぜやるのかの目的をしっかり持ち、目指す基準となる目標値を定めることが当たり前と私は考えます。

一旦この問題を横に置いて、また後で戻してきます。

それでは、見方を変えて、これまでやってこられたこの事業の成果をお伺いしたいと思います。
この事業の利用客を増やすために様々な企画商品も実施されたと思いますが、その売上げや経済波及効果等をお聞きしたいと思います。また、この事業での課題は何かと考えているか、また、その対応策はどうしていくのかお答えください。

● 川端 まちづくり戦略室長

先ほど松尾議員のほうがおっしゃいました予算額として5,000万円相当の金額を組んでいると、それは間違いはないんですが、あたかも岬町の負担額という認識ではなくてですね、その5,000万円相当額の中には洲本市からの負担金、国からの交付金と合わせまして乗船料収入を岬町のほうに集約をして予算執行をしておりますので、5,000万円相当額を岬町単体で負担しているというのは少し違うので、そこだけはもう一度確認をさせておいていただきます。

航路再生事業はですね、新たな人の流れを創出することが本町への交流人口の拡大につながるものと考えており、後日、深日港活性化・空港対策委員会においてもご報告をさせていただきますが、令和5年度に引き続き令和6年度の乗船者数も1万人を超え、年々、航路も周知されてきたところであります。

令和6年度の運航では、観光協会をはじめとする地域の多くの事業者の協力の下、様々な企画商品を展開してまいりました。バスツアーなどの観光ツアーは、19の企画で売上高は175万400円、ホテルと連携した温泉やランチプランは四つの企画で売上高は228万6,000円、「南海うみまち39きっぷ」や淡路交通バスとの企画切符は、二つの企画で売上げは204万3,
000円、決算見込みとはなりますが、企画商品の売上合計は607万9,400円となっております。

また、令和5年度と令和6年度に、近畿地方整備局に対し経済波及効果の算出依頼を行っており、令和5年度では、大阪側において3,600万円の経済波及効果が確認されております。

令和5年度の算出においては、令和4年度と5年度の乗船者数の平均を基に経済波及効果を算出しており、令和4年度は新型コロナウイルス感染症が5類への移行前の影響がまだ残っている中での乗船者数で算出しております。つまりは、令和4年度の乗船者数は例年と比べて少ない数字であったということであります。

現在算出中の令和6年度の経済波及効果は、令和5年度と令和6年度の乗船者数の平均を基に算出するため、2か年の乗船者数が大幅に増加していることから、経済波及効果はさらに大きくなっているものと考えております。これは本町の魅力ある観光地や自然をはじめ、他の泉州地域や和歌山などを広域的に周遊するツアー企画などを実施することで観光消費を促し、企画商品の南海うみまち39きっぷでの多奈川線の利用促進はもとより、町内飲食店での飲食や道の駅みさきでの買物消費など、岬町にも経済波及効果が及んでいるものと考えております。

これら航路再生事業での成果はもとより、本航路を維持することで、災害時には陸路に代わる代替交通として有効であるとも考えております。航路再生事業に係る事業費につきましては、国からの交付金、乗船料収入に合わせ、洲本市・岬町からの負担金により事業を行っております。

なお、これまでの一般質問においてもお答えしておりますとおり、岬町の負担につきましては、航路再生に応援をいただいている多くの方からのふるさと納税を活用しており、本町の一般財源に負担をかけず事業を実施しておりますが、現状の乗船者数では国からの交付金がなければ自主運営ができない状況が課題であると認識しており、さらなる集客に努めたいと考えております。

岬町議会議員 松尾 匡(まつお ただし)の質問

披露いただいたものは、大阪も向こう側の兵庫側も含めた成果であるかなというふうに思いますが、ここでは我々岬町を含む大阪側としてどのくらいの成果となったのか見ていきたいと思います。

ホテルと連携した温泉やランチのプランというのが100%兵庫県側の企画商品かなということで、228万6,000円というのは全て兵庫県の売上げになると思います。また、南海うみまち39きっぷや淡路交通バスとの企画切符については、乗船者数の獲得には寄与したと言えるものの、約205万円の売上げというのは公共交通会社の売上げと乗船料であって、地域経済へ直接波及したものとは言えないと私は考えます。

最後に、企画商品でバスツアーなどの観光ツアーの売上げが約175万円あるとのことで、これも兵庫県兵庫側と大阪側の合算だと思いますけれども、大阪側での売上げはどのくらいなのかお答えください。

● 川端 まちづくり戦略室長

先ほど松尾議員の方がおっしゃられましたホテルと連携した温泉やランチのプランにつきましては4企画を企画しておりましたが、大阪側での企画でありましたホテルでの利用、2企画あったんですが、利用者がございませんでした。

それと、大阪府側での企画プランの売上げということで、深日洲本ライナーの運行に合わせて観光ツアーなどの企画は、令和6年度中の運行では19企画しており、そのうち8回が大阪側での企画となっております。

内訳としまして、3月23日に深日洲本ライナー行く岬グルメ&人気スポットめぐりは、最少最高人数が満たなかったため中止となっております。
3月30日に実施しました深日洲本ライナーで行く岬の絶景スポット&ポルトヨーロッパでは、
売上げは5万5,000円、8月10日と17日に実施しました深日洲本ライナーで行く泉州ぐるっと周遊日帰りバスツアーでは、売上げは27万6,900円、9月7日の深日洲本ライナーで行く岬町サイクリング&イルカウオッチングは、最小最高人数に満たなかったため中止となっております。

9月29日の深日洲本ライナーで行く世界遺産高野山ツアーでは、売上げは23万4,000円となっております。
10月12日の深日洲本ライナーで行く学文字山トレッキングツアーでは、売上げは4万5,000円となっております。
11月3日に深日洲本ライナーで行く秋の贅沢ベーグル旅というものを企画しましたが、強風により深日洲本ライナーで欠航したため中止となっております。ちなみに、申込者は6名ございました。

以上、深日港活性化・空港対策委員会でも随時ご説明をさせていただいております企画ですが、大阪側では8回の企画で、売上げの合計は61万900円となっております。

岬町議会議員 松尾 匡(まつお ただし)の質問

企画商品の売上合計が約608円ということのうち、大阪側は約61万円しかないということですよね、これは全体の約1割です。これは先ほど大阪側の経済波及効果が3,600万円であると答弁されましたが、その中に含まれるということになると思います。もちろん年度は違いますけれども、そうなると思います。

私は岬町ファーストの目線で見るのですが、大阪側の約61万円の中身を見てみますと、目的地が高野山とかポルトヨーロッパなど、岬町では散財されず、お金が落ちていない観光ツアーが催行されているものが多く見られます。また、岬町が目的地となっている観光ツアーは、残念ながら、最小催行人数に満たず中止になっているというのが分かりました。

この事業の主催者で岬町が、この事業により地域経済が潤っているのかどうか、地元住民やお店、そして企業としては知りたいと思うところと思うのですよね。この事業による岬町への経済波及効果は幾らになるか、岬町行政の見解をお聞かせください。

● 川端 まちづくり戦略室長

先ほど大阪側での企画商品での合計61万円というような話をさせていただきましたが、そもそも南海うみまち39きっぷは大阪側での需要ですので、約200万円ほどはそこに含まれてくるわけです。だから、大阪湾側での効果といいますと、61万円に200万円が足された金額が正式には大阪側での経済波及効果になるんではないかと。

ただ、松尾議員のほうでは、企画商品ということで南海電車の部分は違うというお考えですので、そこは町のほうとの考えは相違しております。
それで、岬町単体での経済波及効果は幾らあるのかというご質問です。

今回の経済波及効果の算出についてちょっと説明をさせていただきますが、近畿地方整備局における経済波及効果の算出につきましては、大阪府と兵庫県が公表する産業連関表を用いております。産業連関表は都道府県単位での地域経済の構造を反映した形で形成されており、市町村単位での経済波及効果を直接算出するには適しておりません。そのため、岬町単体での経済波及効果を正確に算出することは困難であり、都道府県単位での算出結果を用いております。

岬町議会議員 松尾 匡(まつお ただし)の質問

岬町単体での経済波及効果を正確に算出することは困難であるということですけれども、ざっくりですけれども、できると思うんですよね。
私は、過去に岬町が取られたこの事業を利用した利用者アンケートを入手して、その行き先、目的地が「岬町」と答えた人は何人いて、それがアンケート回答総数の何%なのかを調べました。


調べたのは平成29年度から令和元年度までの3か年で、アンケート総数3,218人、うち行き先が「岬町内」と答えた方は何人でしょうか。たったの32人なんですよね。割合として11%未満です。そうなると、大阪側への経済波及効果は3,600万円ということですから、その1%未満のたったの約35万円ということになります。1事業年度でたったの35万円です。


先ほど大阪側は約61万円。もちろん認識が違うというのはよく分かりますけども、私の考えで申し上げます。
企画商品の売上げが披露されましたけれども、その観光ツアーのほとんどが岬町外の目的地になっていることを考えると、この35万円はかなり近い数字だと私は考えます。

先ほどの答弁では、町内飲食店での飲食や道の駅みさきでの買物消費など、岬町にも経済波及効果が及んでいるものと言われましたけれども、押しなべて、1事業年度で約35万円しか岬町にお金が落ちていないという分析結果ですよね。

さらに見方を変えましょう。大阪側において、経済波及効果が3,600万円もあるということですけれども、国の交付金や岬町と洲本市の税金を使わないとこの事業の実施運営はできないと、これも認識されておりますよね。

その費やす税金の合計はというと、令和6年度予算では約4,479万円です。大阪側全体を見ても、費やす税金よりも経済波及効果が低いという、私か
ら考えると公金割れを起こしてるのですよね。3,600万円引く4,479万円ですから、その差額はマイナス879万円の赤字です。

これでは効果がマイナスと私は考えます。
さらに、岬町単体で見た場合、35万円ですから、35万円引く4,479万円ですから、何とその差額はマイナス4,444万円のゾロ目の超大赤字です。

もっと細かく言えば、35万円引く、岬町が負担予定の税額857万円としてもマイナス822万円の、岬町単体でも赤字です。

これは7年、事業やってきているんですよね。事業単体である岬町内の経済波及効果は約35万円で、マイナス4,444万円の公金割れという結果は、住民にとってショッキングだと思いますよね。

これでは何のため、誰のための事業をしているのか問われるべきと私は考えております。7年事業やってきてこの分析結果では、明らかにやるだけ無意味と違うんかなどころか、税金をただ垂れ流している結果、私は思いますよ。

住民の理解は決して得られないものと私は考えております。このままでは、自主運営ができないということは、町行政としても理解されていることは答弁で分かりましたけれども、このような状況で今後どうしていかれるのか、正直、ちょっとひどい結果の中、さらなる誘客に努めていくとのことですけれども、この大きな課題は解決できるのかお答えください。

● 川端 まちづくり戦略室長

先ほど令和6年度の四千何がしという事業費のことをおっしゃっておりましたが、そこも先ほどご説明させていただいたように、それは岬町のほうに事業費を集約しているということで、そういう予算組みがされているということを最初にお伝えをさせていただきます。

あともう一つですね、先ほどから目的・目標の件が出ておりますが、一番最初にご説明させていただいたとおり、乗船者数がどうということを目標とは定めておりませんということを何回もお伝えすることになってしまうんです。

ただ、私たちはこの場で発言をさせていただかないと駄目なので、航路再生事業は先ほどからご説明させていただいているとおり、長期的なまちづくりにおける最上位計画の第5次岬町総合計画の基本方針として定めている定住交流政策を進める目的を持っております。

その中で、岬町デジタル田園都市構想総合戦略において、新しい人の流れをつくり定住と交流を促進する、人の流れをつくるということが目的・目標になっておりまして、その数値目標としましては、先ほどご説明させていただいたとおり、200万人の観光入り込み数というふうな目標設定がされておりますので、そこに貢献するというのが航路再生事業の目標・目的となっておりますということを最初にお伝えさせていただきます。

本来の質問にお答えをさせていただきます。
岬町だけでなく周辺地域と連携し、広域的な観光促進を進めることで、魅力的な観光コンテンツづくりに取り組んでおります。これにより岬町を拠点とした広域観光を推進し、地域資源を活用した新たな企画商品を提供することで多様なニーズに応えることができると考えております。

現在、企画商品の利用者は乗船者数の約1割程度であるため、企画商品だけで問題を直接解決できるとは考えておりません。しかしながら、継続的な取組の結果が現状で出てきておりますので、継続的に取組を行うことによって、利用者の再訪を促し、口コミやSNSなどを通じて認知度が拡大することが課題解決につながっていくと思っております。

岬町議会議員 松尾 匡(まつお ただし)の質問

その認識はよく分かっているので、何回も繰り返さなくて結構です。最初に何度も言われておりますし、私もそれを理解して臨んでおりますので、よろしくお願いします。

主題は、継続的な取組で再訪を促し、口コミやSNSを通じて認知が拡大したとて、この大きな赤字、私が考える赤字を黒字に持っていけるのかということですよ。黒字にできるプランがあればお示ししていただきたいですが、回答がかなりずっと同じ回答で、残念な内容で正直がっかりです。

また、同じような取組を継続的に行ったとしても、劇的に利用者が増えるということは絶対にありません。また、仮に口コミやSNSを通じて認知が広がったとしてもですよ、目的地が魅力がないのであれば、今までどおり岬町は通過されるまちなり、お金が落とされることはありませんし、経済を潤せないものとなると私は断言できます。

さらに、公共交通機関の利便性が悪いままであれば航路を利用することもありませんでしょう。

私からすると、この事業での黒字化は完全無理と言わざるを得ません。多額の税金を費やす事業なのに、先ほど言われましたけれども、岬町でも洲本市でも国が出していても税金なんですよ。

そこの認識を、いや違うよということであれば、私はすごい問題視をしております。多額の税金を費やす事業なのにですよ、先ほど言われました、目的も目標も設定せず、ただただ毎年同じことを繰り返し、いずれ認知が拡大するだろうという安易な考え方が私は本当に信じられません。

住民が納得するとは思えませんし、安易に考え過ぎではないでしょうか。ここで違う見方でまた探っていきたいと思います。

この事業は、ふるさと納税収入を活用しているとのことですけれども、どれほどの税額をふるさと納税でいただき、また、この事業で費やされた税額が幾らなのか、これは年度別て初めに言っていましたけども、合計で結構です。合計だけお伝えください。

● 川端 まちづくり戦略室長

令和5年度末までにふるさと納税のうち子育てや福祉・教育など、様々な項目の中から深日航路再生を使途に選択された方の合計としまして、765件で6,322万5,787円となっております。

また、この航路再生事業での町の負担額、これも合計ということですので、合計としましては3,464万7,000円となっております。

岬町議会議員 松尾 匡(まつお ただし)の質問

現在までに頂いている深日航路再生に寄せられたふるさと納税額の合計が7か年で6,322万円もあったんですね。また、町がこの事業で負担した税額の合計が3,464万円だということも分かりました。

差引きすると2,850万円まだ残っているということになろうかと思いま
す。

仮に、例えば、町外の方がふるさと納税で岬町へ寄附する際に、深日航路再生という選択肢をもし取り下げていたら、特に住民要望の高い子育て、そして教育・福祉などの選択肢へ寄附が回っていたと考えられると、子育てや教育・福祉などに相当な手厚い住民サービスを実施できたんじゃないかなと私は考えてしまうわけです。私がそう考えるのはなぜか。7年同じ事業をやってきて、民設民営で到底継続できないという結果がもう出ているからですよ。

この事業について、以前に町長は、民設民営でできるようにしていきたいとおっしゃってました。私は大賛成ですよ。大賛成。しかし、7年も社会実験をやってきて、民設民営で、要は乗船者収入だけで航路が継続できるような結果が出ていないんですよね。1回たりとも達成できていないどころか、程遠いと言わざるを得ないんです。

私の調査では、事業実施に5,530万円必要なこの事業を黒字に転換するには、1便当たり76人乗らないと運営できない計算なんですよ。内訳として、5,530万円割る運行実施日数の74日掛ける1便8便なので8を掛けます。掛ける令和5年度の平均乗船単価実績である1,235円を掛けると75.6人になりますよね。なので、およそ76人です。

乗船者数の合計としては4万4,992人必要なんですよ。
町長、今日も言われましたけども、町長は、今回挨拶で合計1万人を突破した利用がありというふうに、過去最高を記録したと大々的にPRされておりますが、この数字って、民設民営にしようと思えば、それと比べると4分の1にも至ってないんですよ。4分の1ですよ。

7年もやってきた事業で、1便当たり利用人数がまだ20人を満たせていない結果があるわけなんですよね。
町長は先ほど言われました。過去最高記録したと大々的にPRしておりますけれども、中身が民設民営でとてもできるはずのない大赤字であるのに、何か自主運営もできるかのごとく伝えるのは、住民からするといかがなものかなと思っております。

しかも、ここで私が問題視しているのが、これは一番大事なんですけど、1便76人利用者が必要なのに、現行使用されている船舶、インフィニティの乗船定員は68人しか乗れないのですよ。

68人しか乗れない船舶では、毎便満員で運行しても、どうあがいても赤字なのです。当初から計画自体がおかしいものです。

そして、民設民営では不可能な設定に初めからなっているということが大きな問題です。私はこの問題だけではありませんけれども、一般的に考えておかし
いので、今年3月の一般会計予算を反対したわけです。このことについて町はどう考えているのかお聞かせください。

● 川端 まちづくり戦略室長

先ほど松尾議員のほうが算定されました1便当たりの乗船者数は、予算をベースに考えておられると思います。令和5年度につきましては既に決算が出ておりますので、その決算に基づいてご説明をさせていただきます。

定員68名の船で乗船料収入だけで自主運用を成り立たせるためにはですね、町の試算では、令和5年度決算において1便当たり74.6人、これは松尾議員がおっしゃるように、68人の定員の中で74人乗れないじゃないかというふうになります。

現状では満席でも自主運営が成り立たないことは認識しております。この原因としまして、昨今の原油高高騰やそれに伴う物価高騰、人件費高騰、人件費の上昇などが上げられます。民設民営が成り立つモデルにするためには現在の船舶の見直しが必要と考えておりまして、定員数を増やした船舶の導入を今検討しております。

岬町議会議員 松尾 匡(まつお ただし)の質問

先ほども言われましたけども、町行政の試算としては決算で算出されておりますので、私の試算と1人の違いであります。おかしなことというのは認識されているということですね。

原油価格とかもろもろの高騰があるのは分かりますが、それを差し引いたとて、それが黒字になるというのは到底思えないですよね。最低、毎便満員に運行することが実現可能なのでしょうか。

また、町行政も民設民営で成り立つ事業モデルにするためには船舶の見直しを含めた検討をしている、必要があるというふうな認識が示されましたが、それでもこのまま続けるんでしょうか。いつまで続けるかお答えください。

● 川端 まちづくり戦略室長

まずは航路再生事業におきましては、議員おっしゃるように、乗船者数が増えることが総合計画の目標であります。観光売り込み数200万人の達成につながっていくものと考えております。

その取組を続けることによって人の流れができますので、その流れができると、当然、船の乗船者が増え、総合計画の目標達成にも近づくという中で、船舶に係る経費につきましては、単純に、もっと経費を下げようと思えば経費は下げられるわけです。

例えば、発券場コーナーでは自販機によって発券作業を行う、そしたら人件費が浮きます。ただ、もともとの目的が人の流れを創出するということですので、流れに沿ってこられた方に対して観光案内をするというのが当然我々の仕事の一つになってきますので、単純に、経費を下げて乗船者数を増やして黒字運営ができるというのは一番いいことですけど、この人の流れを民間事業者の方がですね、我々もコマーシャルではいくんですが、それを認識していただいて参入していただける企業があれば一番ベストになりますので、それをするためにはまずは人の流れをつくる、乗船者を増やす。何人という目標ではなくて増やすということを目標に掲げておりますので、それでは質問にお答えをさせていただきます。

何度も繰り返しになりますが、航路再生事業では第5次岬町総合計画の基本方針として定めている定住交流政策を進めることを目的と定めております。その総合計画の重点政策を定めている岬町デジタル田園都市構想総合戦略での新しい人の流れをつくり、定住・交流を促進する基本目標としており、それらを実現するため、具体的な事業として航路再生事業は位置づけをされてます。

この位置づけにより、航路再生事業として運行している深日洲本ライナーへの乗船者数を増やす取組を続けることで、さらなる人の流れが創出されることはもとより、航路再生事業においても、民設民営に近づくものと考えております。

また、この事業は一過性のイベントとは異なり、長時間にわたって本町を介する新しい人の流れを創出し、交流人口を増加させることを目的としておりますので、これまでも説明してきましたとおり、国の交付金を活用し、ふるさと納税で航路再生を目的に指定し、支援をしていただいている寄附金を財源として事業を進めております。現時点では町の一般財源に負担が発生しない形での運行ができておりますので、引き続き継続していきたいと考えております。

一方で、民設民営の形が実現できれば、より持続可能で安定した運営が可能になると考えており、その実現に向けて努力を続けてまいりたいと考えております。

● 田代 町長

松尾議員の全体的な質問について私のほうから総論的に申し上げますとですね、この航路再生事業については当初から松尾議員もご理解いただいてると私は思ってますが、阪神淡路大震災が起きて、あのときに陸路が寸断されてですね、にっちもさっちもいかなかった、そのときに陸路が、人の運搬または物の運搬もできない状況の中で、深日洲本航路がいかに物の流れ、人の動き、そういったものが発揮できたかということは既にご承知かと思います。

それを一つの基盤にして、私ども安全安心なまちづくりを推進していくためにも、また、そういう災害時におけるところの急場の危機的な状況をしのぐためにもですね、どうしてもこの航路は必要だということを国に訴えたのが当初のスタートであります。そのときにはもう既に明石海峡大橋ができておったので、とても海路をつなぐということは非常に難しい問題がありましたが、国がやはり重い腰を上げていただいて、やはり、今後来るであろう南海・東南海地震のことを考えると近々の課題だということを含めて、災害時におけるところの航路をという意味合いがあって、今、航路再生事業をやっておるわけで、先ほどから議論が集中しております費用対効果・経済効果、いろんな問題が出てますが、もちろんそれもそうなんですが、目的は、やはり災害に強いまちづくりを進めていく中で、岬町の深日航路を使っていくことが、万が一、今後起こり得るであろう東南海・南海に備えた、そういった航路再生事業の一つだということも特に認識していただきたいと思います。

費用対効果のことは行政上大事なことでありますけれども、時として、場合によってはそういう住民の生命・財産を守るためにも、この航路をつなぐことはですね、岬町にとって私は絶対必要不可欠だと思っておりますので、理論上の話も結構でございますけども、お互いの港をつなぐことによってですね、また、お互いの町が活性化する、港町が活性化する、そういったことも含めての上での大局に立っていただいてですね、このことについてはご理解をしていただきたいと思います。

岬町議会議員 松尾 匡(まつお ただし)の質問

町長におかれましては、先ほど災害対応にこの航路は必要だということをおっしゃっておられます。私は、付け加えて、先ほど費用対効果はこれには当てはまらないというような趣旨の町長のご発言でありますけれども、じゃあ、その費用対効果を求めないとずっと公金を使い続けていいのかという問題を私は言っていますよね。

私は、災害対応について、幾度か、何度かしつこいぐらい一般質問をさせていただいております。ここで、その災害対応に必要だからと言って、これと航路の税金を費やしたままずっと続けるというのはイコールではないのですよ。

続けなくても、災害対応で迎え入れることはできます。物資の輸送もできます。そこを履き違えないでいただきたいと思いますよね。

だから私は、しっかりと費用対効果を検証した上で、無理なら無理と、はっきりと諦めることも英断です。それで違う取組を始める。まちづくりもそう。そして、災害対応のこともそう。新しいスタートを切ることも英断です。

それを今回は言っているわけであって、さらに災害対応のことで言うと、道ありますよね。目の前の府道752号線、これもまだ片側1車線ですよね。まだというか、みさき公園がこれから開園しようとしている中でも、渋滞対応がまだなされていないというのも、これは災害対応と一緒ですよね。

あと、第二阪和国道、これは私も一緒に行かせてもらってますけれども、この要望活動というのも実をなさないといけない、これは最重要課題ですよ。どっちかというと、そっちのほうが大きいと思います。

この災害対応で必要だということであれば、この行き来は災害対応になったと
きにすぐできますよ。だから今日は、さきに費用対効果をちゃんと追求して、違う方策も考えていこうよという趣旨で述べてますので、この辺りは理解をいただきたいと思います。

私は、現時点では、町の一般財源による負担が発生しない形で運営ができているとお答えになったことが信じられないんです。ここは今の町行政と私との税金の使い方、そして考え方に深い溝があると思うのですよね。

ふるさと納税収入は、岬町の基金に入りますよね。私の考え方は、その基金も立派な行政サービスに生かせる、一般財源にできるれっきとした血税ですよ。町行政は、町の一般財源を傷めていないと言いますけれども、私が先ほど言いました、ふるさと納税の税金の使い道の選択肢から、7年実験して、結果のひどい深日航路再生をなくしていればですよ、子育てや教育・福祉に、少なくとも今、航路事業再生にしか使えず残っている2,858万円を使うことができているんですよね。

もっと言うと、深日航路再生に費やした3,465万円分も、もっと早くに基準を設けて精査してやめる決断を下せておれば、6,322万円近くの子育て教育、福祉サービスを実施できていたことになるのですよね。

逆に言うと、この事業のよしあしの判断をせずに、やめる決断ができずに、ズルズルと税金を垂れ流し続ける町行政が町の住民へ負担を強いているのと同義であると私は考えるのです。だから、事業のよしあしを決める基準を設けましょうよ。

この話の初めに戻りますけども、基準とは何か。目標であり、ゴールなんです。目標であり、ゴール、これを決めましょうよということなんですよ。でも、町行政は最上位の目標は決めてるけれども、事業単体で目標は決めませんよ、これが早いですよということなんですよ、私から言うとね。

最後にもう一度聞きます。これはどなたが回答されても結構ですけれども、私はもう既にこの深日航路再生事業を民設民営で継続させることは完全に無理と考えておりまして、未来がないと判断しておりますけれども、それでも町行政は継続させようとしております。

それなら最低でも、先ほど私が言いました明確な目標やゴールを定めて、いつまでに定めた目標へ到達できないのであれば、やめる決断をするということをしませんか。端的に言います。この深日航路再生事業の目標設定をするつもりはないかをお答えください。

● 川端 まちづくり戦略室長

この航路再生事業は、現時点においても大きなくくりでありますが、検証はされております。航路再生事業は第5次岬町総合計画の重点政策の中にうたわれておりまして、岬町デジタル田園都市構想総合戦略の中で実際評価はされておりまして、3段階評価のうち2段階、70%から100%未満を達成、ほぼ
達成という形の評価をされてます。

これは松尾議員から言うと航路単体ではないですが、観光入り込み数に貢献をしているということになります。
先ほどおっしゃいましたふるさと納税の項目等でも、例えば五つ項目があって、その中に深日航路再生が含まれてます。

この五つのうちの再生がなくなれば、当然残りの四つに同じ寄附額であれば行きます、それは当然のことなので。ただ、この位置づけをされている以上、航路再生事業については、ふるさと納税の項目の中に設定して皆さんに応援をいただくということで、単体での目標設定は、何度も繰り返しなりますが、交流人口を増やして入り込み数を200万人を超え、300万人、400万人にいくようなことになれば、当然、航路利用者も増えていくと。そうなれば民設民営に近づくと。

あわせまして、岬町が目的地になってはないじゃないかという話ですが、松尾議員がお手元にお持ちの平成29年度前後のアンケート調査ではですね、みさき公園がありました。目的地と設定されてる方のアンケート調査でみさき公園が一番多かったです。それが一時的ではありますが、今みさき公園という大きな岬町の目的を失っている状況ですので、その目的地であった新たなみさき公園が開園されればですね、さらなる人の流れができるというふうに確信しておりますので、航路再生事業を引き続き続けていきたいということです。

岬町議会議員 松尾 匡(まつお ただし)の要望

多分、認識が埋まらないと思うのですよね。私は何度も言ってます。総合計画を達成するための手段としてこれが適当なのかという判断をするために目標とか設定をすべきだって私は言ってるのですよ。

回答が全然かみ合わないので、もうこれは認識の違いとしか言いようがないです。
経済波及効果もそれこそ、政治のやり方が違うということです。私は、経済波及効果の調査で岬町はたったの35万円という評価なんです。兵庫県側はどうかというと、近畿地方整備局は1億7,900万円という試算が出ておりますよね。兵庫県は随分前から観光産業が成り立っており、お店や企業、そして住民もお客様を受け入れる体制とかも意識もできているわけですよね。

いわゆるおもてなし文化がもう既にある地域ですよ。だからこそ、こんだけ経済波及効果も出ているのですよね。

岬町はどうか。できていません。

社会実験で結果が出てるわけでしょう。この社会実験の結果が全てですよ。

一言で言うと、目的地になってもね、先ほど評価していると言いますけれども、もっと精査しないと本質は見えません。その本質に私は迫っているというふうに認識していただきたいと思います。

目的地になっている兵庫県と通過されるだけの岬町、これが今の結果です。何のためにやるのかという総合計画の目的は、先ほど言われました定住・交流政策を進めることですよね。通過されるだけの岬町では目的を達成できないことになります。

また、総合計画の目標は、観光入り込み数を200万人に増加させることとおっしゃいました。
これについても、通過されるだけの岬町では観光入り込み数のカウントには入りません。私の考えでは、総合計画の目的と目標を達成するための手段だと言われているこの事業は、手段として明らかに私としてはバツです。失格で、私はさっさとほかの方法で違う手段を見つけます。目的と目標へのアプローチをします。

私なら何をするか。目的地になり得ていないのであれば、先に目的地づくりをすべきなんじゃないのですかね。目的地づくり。私なら間違いなく航路再生よりも、今この結果が出たから既に思うことでありますけれども、航路再生よりもさきに魅力ある旅の目的地づくりに注力をいたします。

何回も言っております、例えば、空き家を活用した魅力あるお店や宿泊施設の整備とか誘致、そして、ふるさと納税の返礼品にもなり得るような特産品もありませんよね。そして、岬町にはお土産もありませんよね。ないと言えませんよ。少ないです。その開発もしていく必要がある。

そして、何より岬町の豊かな自然や資源を活用した地域体験型観光ツアー、これね、一部の人ではなくて、もっと広く住民を巻き込んで協働でつくっていくこと、これを私は旅行の商品化、そしてここにICT化を追加していくことで、行ってみたいまちづくりというのができるはずと私は確信をしております。

そこでね、そこに挑戦する人を増やすためにもDMOと言われる観光地域づくり法人とかを設置して、おもてなし事業に取り組む人を全力で支援したり、住民が稼げる環境をつくります。そして、住民と行政が一体となり、共有したビジョンの実現と町のPRに全力を注ぐべきだと私はと考えております。

これは10月下旬に我々岬町議会で視察に訪れました釜石市にDMOがあり
ます。ここも同じ手法です。同じことやられてます。発展されてます。視察した限り、私はここで生かしていきたいですよね。だから披露しました。

岬町行政が言われる、定住・交流促進する手段として、私はこれが正規の王道だと思うのです。
目的地になれてないのだから、目的地先をつくりましょうよということが王道と違いますか、ということですよ。

最後の質問で、結局、基準の云々は言われなかった、回答されておりませんでしたので、多分作らないと思います。町行政と私との政治姿勢の大きな違いが分かりましたので、これ以上何も言いませんけれども、提案をしました。

こう違いますかという提案です。けれども、せめて住民としては、表面の結果だけではなくて、費やした税金に見合ったものかどうかを多角的に精査・検証できるような資料というのを披露すべきと考えます。なぜなら、我々住民の税金が使われているからであります。

もう一度言います。国であろうが洲本市であろうが岬町であろうが全部税金です。全部税金です。
以上、よろしくお願いいたします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA