R2年9月岬町議会一般質問/岬町総合計画を誰もが理解し計画を達成できる意味あるものにするために
質問の趣旨
町の基本構想を示し、最上位計画として策定される総合計画。現在第5次計画の策定中ですが、計画を立てるからには達成をしなくてはいけません。
町民や職員が一丸となって取り組める仕組みづくりについて、松尾ただしが大阪府泉南郡岬町岬町議会一般質問にて提案します。
総合計画は岬町が目指す将来像などの基本構想を示し、まちづくりの最上位計画として策定されているものです。現在、第5次計画の策定中で、私自身も今回、厚生委員会委員長として策定のための審議会に参加させていただいているわけですが、計画を立てるからには達成をしなくては作る意味がありません。
この総合計画がまちづくりの指針となるわけですから、作った人だけが知っているというような状態では計画を進めることすらかないません。岬町行政職員一人ひとりはもちろん、まちづくりの主役である岬町に住む方々や岬町の企業、事業者が一丸となって計画を理解して達成に向けて岬町全体で取り組める仕組み作りについて提案したいと思います。
総合計画に基づいて様々な事業を遂行していくために、岬町にはたくさんの計画が策定されております。それは岬町だけではなく、全ての市町村でも言えることですが、そのたくさんの計画について、存在すら認知していない住民の方々も少なくはないと感じております。出来上がったものの概要のみを回覧板での各戸配布や岬だよりに掲載したとしても、それが住民の記憶に残ることは難しいのではないかと思うのですね。
計画を完成させる前に行われるパブコメ、いわゆるパブリックコメントの募集は、町民がその計画に対してもっとこうしてほしいとか、こうあるべきだという思いを伝えられる唯一と言ってもよい制度です。けれども、そのパブリックコメントの募集期間や募集方法などがあまりに目立たず、その制度自体も住民に知らされていないのではないかと感じております。
そこで、今までに行ったパブリックコメントの募集件数と、その結果についてお教えいただきたいと思います。
●岬町 寺田総務部理事 の答弁
まず初めに、総合計画は本町のまちづくりを進めるうえで最上位に位置づけられる計画であり、あらゆる計画の基本となることを初めにお伝えさせていただきます。岬町のパブリックコメント制度は、平成17年4月に始まりました。
この制度は町に政策形成過程において公正の確保と透明性の向上を図り、町民の町政への参画と町民の協働のまちづくりの推進に資することを目的として導入されました。平成17年の制度導入後から現在まで、この制度を使って42件の意見募集が行われました。
パブリックコメント制度は、町が施策の策定を行う際に皆様のご意見や情報を考慮して最終的な政策案を作成できるとともに町の考え方も皆さんにお伝えできる制度だと考えております。過去の実績ですが、42件の意見を募集したところ9件のご意見がありましたが、33件については意見などはありませんでした。
この結果からも、今後、より多くの方からご意見をいただけるような取組みが必要であると考えております。パブリックコメントの手続の流れとしては、各課がある政策を実施しようとする際に、町として皆様からの意見が必要であると判断した場合、まず、広報岬だよりなどにより意見を求めようとする町の政策等の名称,概要,公表時期,意見募集期間公表方法、意見等の提出方法などを周知します。
その後、対象となる施策に関する基本的な計画や基本的な方針を定める条例などについて、その案や資料を町のホームページ、本町及び各出先機関で閲覧配布、また情報提供コーナーでの閲覧配布などにより公表しております。
今後は広報岬だよりでの告知も記事を目立つ場所に掲載し、内容を分かりやすく改善するとともに、町のホームページではトップページにパブリックコメント用のバナーを作成し、各原案のページへ直接移行できるように改善いたします。
今後とも、より多くの方からご意見をいただけるよう、町のフェイスブックでも呼びかけなどを行うなど、町民への情報発信に努めてまいりたいと考えております。
寺田理事からご回答のあったように、やはり寄せられた意見というのがあまりにも少ないと言わざるを得ない結果だと思うのですね。パブリックコメントの募集を行っていますとは言えても、これでは町民の意見を聞きましたとは言えないのではないかと思います。
先ほど、寺田理事から回答いただいたとおり、周知することも大切ですが、もっと簡単に、気軽に意見を届けられるような形をとるべきだとさらに提案したいと思います。
例えば、完成する前に、住民の意見を幅広く聞けるように、素案概要を作成して、それを各戸配布します。その素案概要には切り取れる返信ハガキを付けておき、意見を返してもらう方法はいかがでしょうか。この方法は、私が委員長を務めさせていただいております広報委員会が作成している議会だより岬でも行っていますが、既に一定の結果が出ております。町のホームページを見たり、役場や各施設に置いている資料を見にいく時間を作ることが難しい方でも意見することができますし、自分の意見が反映されるかもしれないとなれば、出来上がったものを見るより、より注目して見ていただけるのではないでしょうか。
そして、この手法は町の今を町民に伝えて、町民がそれに対しての質問や意見を返せる方法になるのではないでしょうか。先日の議会運営委員会で、10月からタウンミーティングを開催するとお知らせいただきました時にも、私はこのコロナ禍の中で、全国的にもなかなか収束しない状況下で開催するのは行政としてどうなのか、いかがなものかということを申し上げております。直接人を集めて開催せずとも、私が先ほど提案したような手法でパブリックコメントを受け付ける手法のほうがコロナウイルス感染のリスクをゼロになくせるし、タウンミーティングの日程に参加することができない方々にもより多くの方から、そして、より多様な意見を寄せられる可能性が高いと提案しております。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大が収まらない現状で、集まることや密になることを避けるよう町内放送やホームページ、広報誌等で積極的に町民へ協力のお願いをしてきた岬町行政自身がタウンミーティングを開催することに矛盾があり、町民の理解を得られにくいのではないかと私は考えておりまして、開催すべきではないのではないかと思います。
国や行政がお願いすることに協力の意を示し、岬町内で今でも練習や活動を自主的に自粛されている団体もありますし、特に、高齢の方からはもしも感染したらと思うと怖くて集まれないというお話も伺っております。そんな方々の声もきちんと聞くことが大事なのではないでしょうか。
今、私が提案した方法で行えば、より多くの方から、より多様な意見をいただけるように思いますし、今の時世を考えた方法だからこそ住民の皆様にも理解を得やすいと考えます。ぜひ、タウンミーティングの開催方法についてもこのような手法を取り入れた開催とするよう見直していただきたいですし、今後、総合計画だけではなく、様々な計画を立てる際にも住民の声、ニーズをより踏まえて策定できるよう改善していただきたいと思います。
そして、この総合計画が様々な事業の方向性も示すわけですから、その事業を担っている職員も深く理解して、日頃の業務でも目標を心に留めながら行えるような仕組みが成り立っていなければなりません。
そうなれば、まちづくりの最上位計画である総合計画に沿ったそれぞれの事業運営やその事業の計画を作ることができませんし、それぞれの計画の整合性も取れなくなることも考えられます。計画策定後に職員間での情報共有や進捗管理と報告についてはどのように行っているでしょうか、お答えをお願いします。
●岬町 寺田総務部理事 の答弁
初めに計画を策定するに当たり、本庁内の各課との連携が必要になる場合がございます。各計画により様々ですが、総合的、横断的な対応が重要であると考えており、所管事務事業の現状、課題、社会経済行動等の変化に伴う将来的な対応について検討する場合もあることから、計画策定に伴う調書の作成などを行う場合は、各担当課のヒアリングを実施して意見を反映させていただいております。
次に、策定後の進捗管理ですが、計画により期間、数値手法は様々ですが、目標実現に向けての計画の進捗をマネジメントするため、その達成過程にも重要業績評価指標(KPI)を設定し、住民、民間団体の関係者や学識経験者といった住民の参画を得た推進会議などで意見を得ながら毎年度計画検証やPDCAメカニズムを機能させ、内容によってはその取組みの在り方に改善を加え、必要に応じて見直し、改定を行い、目標の実現を目指しております。
また、内容についてはホームページで公表し、住民の皆様に周知しているところでございます。
計画策定前に各課から意見聴取を行い、計画に反映させているのは分かりました。しかし、重要なのは計画策定後ではないでしょうか。
この質問の最初にも述べたように、職員一人ひとりの計画に定められた目標を意識して業務に向き合わなければ、計画を進めることも難しいのではないでしょうか。例えば、役職級の方はもちろん、担当職員も計画についてより深く認識し、課題共有と達成のためにどう業務を行うかを検討し合い、確認できるような職員勉強会などを行っても良いかもしれません。
そして、総合計画はそもそも住民のために作られているものですから、途中経過についてもホームページに掲載するだけではなく、議会や住民にきちんと報告する機会を都度設け、以後の達成に向けた目標を共有できるようにもっと改善していただきたいと考えます。
もう一つ、様々な計画を策定する際にコンサルティングの活用がなされております。この第5次総合計画についても、約970万円という高額なコンサルティング委託料が予算化されておりますが、どのようなコンサルティングが行われ、どのような作業を依頼しているのでしょうか。
岬町の財政状況を考えても、この委託料は決して安くないと言わざるを得ません。委託している業務の中に内部で行えることもたくさんあるとすれば委託料の削減ができるし、その分を住民サービスや計画を進めていくために必要な費用に回せるのではないでしょうか、お答えいただきたいと思います。
●岬町 寺田総務部理事 の答弁
コンサルの活用なんですけれども、本町が策定する計画では、議員ご指摘のとおりほぼ全ての計画において活用しているところが現状でございます。委託業務の内容ですが、アンケート等の実施や各種情報収集、及びそれらの集計、分析等、また図表やイメージ図作成等、テクニカルな部分で専門的な技術を活用する場合や既存の個別計画との整合など、非常に多岐にわたるデータを客観的かつ専門的に分析する必要があることから、他団体の取組みなどを調査し、課題点とその原因を分析できる経験豊富なコンサル事業者と連携することで住民に分かりやすい計画、進行管理が可能な計画作りに支援いただいております。
また、職員数が少ない本町にとっては日常業務が多忙の上、策定業務に十分な時間を確保できないなどの理由から外部委託することで新たな住民サービスへの取組みや政策整備など、住民サービスの向上につながる業務へ割り当てることが可能になることから、職員による策定は現状厳しいと考えております。
専門的な技術やコンサルティング事業者の持つノウハウを利用して、より岬町に沿った計画を策定するため、また日常業務として住民のためのサービスに支障が出ないようにするためということは理解しました。
先ほどもお話ししたとおり、コンサルティング委託料は決して安くはありません。この委託料は岬町に住む方々の税金からも当然支払われているわけですから、本当に住民に還元できる計画を策定して、その計画の目的を達成できる仕組み作りについてさらに改善していただくことをお願いしまして、私の一般質問を終わりたいと思います。