R2年9月岬町議会一般質問/「みさき公園」事業のあるべき姿を提案する!
質問の趣旨
行政が行ったアンケートの結果も公表され、今後みさき公園事業についてようやく動き始めるこの時期だからこそ、「財政を潤してくれる公園のカタチ」を目指すべきですが、町行政はどのように考えているのか、全容を、松尾ただしが大阪府泉南郡岬町岬町議会一般質問にてお聞きします。
それでは、一般質問を始めたいと思います。まずは、みさき公園のあるべき姿についてという通告をさせていただいております。6月に行政が行った新たなみさき公園整備に向けたアンケート結果も公表され、事業者を公募する内容を決める参考にするため、再度サウンディング型市場調査を実施すると公募されております。時間をかけて新たなみさき公園を作り上げるのであれば行政として全体像のイメージをきっちりと持った上で進めなければ無理が生じてしまいます。今回は、財政を潤してくれる公園の形を目指すべく,町行政はどのように考えているのか聞いていきたいと思います。
南海電鉄が運営してこられたみさき公園は、岬町や近隣に住む方々だけでなく、中には関西圏外にお住まいの方にも認知されているほど親しまれ、愛され、岬町にとって大きな観光資源でした。学校などの遠足や三世代でのピクニック、夏にはプールと動物園が同時に楽しめるため、多くの家族連れが訪れることのできる遊園地であり、訪れた家族にとってかけがえのない思い出を作ることができる場所として子育て世帯を中心に愛されていました。
それを物語るように、最後の日には、新型コロナウイルス感染症に対しスタッフはもちろん、来場者も最大限に気を付けながら、本当にたくさんの方々が訪れ、惜しまれながら幕を閉じられたわけですけれども、まずは、南海電鉄が運営されていた時の来場者数や売上げ収入などの数値についてお示しください。
●岬町 吉田都市整備部理事 の答弁
南海電鉄株式会社の公開資料によりますと、「ぷーるらんどRIO」が新設された昭和62年度以降の来場者数のピークは平成元年度の約72万人となっています。その後、平成13年にはUSJの開業の影響を受けるなど、約40万人前後の来場者数が続きました。
また、イルカ館をリニューアルした平成21年度には約43万人を超えましたが、その後は減少傾向が続き、平成29年度にはピーク時の半分である約36万人の来場者数となってございます。
また、収入額につきましては、入園料収入の割合が最も多く、次に、イルカショーなどのイベント収入並びに遊具及び飲食などの委託事業収入、次に、駐車場収入の順となってございます。
過去数年間の収入総額を言いますと、平成27年度が9億7,000万円、平成28年度が8億4,000万円、平成29年度が8億6,000万円となってございます。なお、参考に、営業損益額については平成27年度は2億5,000万円、平成28年度は3億6,000万円、平成29年度が3億3,000万円と多額の赤字となっておるということでございます。
先ほど、吉田理事からご説明をいただきましたとおり、来場者数が減少し、営業損失が増えたことにより南海電鉄は事業継続が困難との判断に至ったのだと、これは南海電鉄の通知文にも掲載されております。
町長は、以前から2億円の赤字が出ていたから、以前のような遊園地は駄目だと言っておられました。そのご発言は、なぜ赤字になったのか、その詳細まで把握してのことだったのでしょうか。
その額面に至る根拠となる詳細な情報を南海電鉄から入手し、町としてそれをしっかりと精査し、きちんと把握した上で次のみさき公園の方向性を考える議論をされて現在に至っているのでしょうか。
先ほど、収益の割合についてはご説明をいただきましたけれども、逆に、何が一番の経費となっているのかも確認して、その辺の見極めをしっかりと行ったのでしょうか。全盛期には、大きな営業利益が生み出されていたはずです。
来場者数と照らし合わせて、その収入の推移比較をなされたのでしょうか。これらをしっかりと行っての今なのであれば、いつ、どの程度行って、どのような結論に至り、現在の方針で動かれているのかというのをお示しいただけますでしょうか。
●岬町 吉田都市整備部理事 の答弁
南海電鉄のみさき公園の運営事業からの撤退の申出の際、公園事業収支は赤字が続いている旨の説明がありまして、その裏付けとなる資料を平成30年8月頃に入手いたしました。
その内容は今、説明申し上げたとおりで、南海は公園事業決算データは非公開とする考えから、その後も詳細な説明や資料の提出はなく、これをもって本町が経営内容を検討することができない状況でございました。
また、平成29年度で約33億円の特別減損処理を行ったことにより、公園施設及び土地の帳簿上の価格はゼロである旨の説明も受けております。
こうした状況の中、公園事業撤退の申出を受けましたが、本町には公園運営にかかるノウハウがなく、引き続きみさき公園の経営を引き継ぐことができないことから、南海に対して、撤退後の後継事業者を探すことや将来のまちづくりのためにも公園用地の無償譲渡などの条件を南海に提示し、協議を重ねてきたところでございます。
それ以後の経過は、既にご説明させていただいているとおりですが、こうした南海との協議と並行して、新たなみさき公園の整備運営等の事業におきましては、6月の全員協議会の場でも説明させていただきましたとおり、民間事業者の活力を導入するなどの基本方針のもと検討を重ねて6月に実施したアンケート調査の結果なども反映した事業概要を取りまとめ、先日公開させていただいたところでございます。
吉田理事からご答弁いただきましたけれども、細かい数字等々を精査しているかというと、そうではなかったということであります。そうであれば、単純に赤字だからという内容で、今までの公園の方向性を否定したり排除するというのは、ちょっとその段階では早いのではないかと私は思ってなりません。
これからのみさき公園の明確なイメージを持つために必要なのは、過去の実情を分析して、なぜ南海電鉄が撤退に至ったのかを正しく把握していかなければならないと思うのですね。最初の質問のお答えで、吉田理事からもお話があったとおり、ピーク時である30年ほど前には72万人もの方がみさき公園を訪れていたわけです。
その当時の賑わいを生むことができれば、みさき公園は再び岬町を豊かにしてくれるのは言うまでもないと思います。人が集まる公園でなければ収益が出ないことも当然のことでしょう。同じ大阪府にひらかたパークがありますね。最盛期の昭和49年には約160万人の来場者数を誇りましたが、先ほど理事がお話しされたように、レジャーの多様化やユニバーサルスタジオジャパンが開園されるなどの要因で、平成23年には90万人を割るまでに減少し、経営も苦しい状態になりましたが、様々な工夫を取り入れ、ここ最近では、来場者数が120万人を超える年が続いているということなのです。
また、前にも私が出しましたサンリオピューロランド、来場者数が平成25年には約113万人まで落ち込みましたが、平成30年には、たった5年でほぼ倍の約219万人にもなっております。今述べた二つの事例は、私の一般質問では、公園再起の方法事例として取り上げましたが、この二つが現在も運用を続けられているのは、来場者数が増えたからで、そうなるようにしっかりと目標を定め、アイデアを駆使し、仕掛けをしっかりと作ったからにほかなりません。
新たなみさき公園についても、そのようにしっかりと目指すところを明確に持つ必要があると思います。町行政は、コンサル事業者にみさき公園事業の構想などを含めてお願いすると、半分丸投げというように私は判断をしましたが、そうであったとしても、事業を委託する事業主は誰でもない町行政です。こ
の町行政がしっかりと住民の意見や要望等の声を聞き、反映した上で、これまで以上に、我々住民のまちの愛されるシンボルとなるような公園にしなければなりません。また、そうあり続けるためには、やはり今まで以上に来場者や、また過去以上に仕事や雇用を生む、多く生む必要があるし、公園があるから町財政が潤っているのだというようにしなければならないと私は思います。
それを、持続可能な形で運営できる公園にしていただきたいのですね。決して、住民から今後、公園管理に税金等の負担を強いられるような、または、そうなりそうな公園事業では決していけません。町行政として、公園事業における来場者数の目標値はどれほどを見込んでいるのでしょうか。
今までの公園は赤字だから駄目と言われているのであれば、以前のみさき公園の全盛期以上の来場者数を見込むような事業を想定しているでしょうか。自然公園として運営し、収入の見込めない公園とするならば、それは赤字経営と同じで経費だけが掛かってしまいます。近隣に既にあるような、ありふれた自然公園にしてしまえば、以前のみさき公園では経営困難と判断された入場者数36万人ですら目指すことができないのではないでしょうか。
公園を管理する交付金があるからと高をくくっているのならば、後々、本当に岬町が、また岬町に住む住民にとって大変なことになりかねません。だからこそ、今の時点からきっちりと集客があって、収入のある公園ビジョンを作らなくてはいけませんし、岬町のものにすると決めた以上は、まちとして高い目標設定をする必要があります。みさき公園はまちのシンボルです。
まちのシンボルを守って町財政を支えてくれる営業利益を実らせることができるような事業を目指さなければならないのです。町行政として、そのようなイメージをきっちりと持っているのでしょうか。目指している収入規模はどれくらいなのでしょうか、併せてお答えをいただきたいと思います。
●岬町 吉田都市整備部理事 の答弁
新たなみさき公園の来場者数や収入額の目標値を持っているかということでございますけども、本町では現在、新たなみさき公園整備にかかる基本的な方向性を始め、公園用地の概要、整備事業の方式、事業スケジュールなどの事業概要を取りまとめ、民間事業者の創意工夫を取り入れ自然を生かした幅広い世代が交流する魅力ある公園の創出を目指し、サウンディング型市場調査による個別対話の実施に向けた手続きを行っているところでございます。
このサウンディング型市場調査におきまして、町が想定する事業内容や事業の採算性を始めとした調査項目についての意見を聴取し、その内容や新たなアイデアをこの事業の実施方針や事業者募集要項に盛り込み、民間事業者が参入しやすい事業としたいと考えております。
よって、このサウンディング型市場調査の結果を踏まえ策定する新たなみさき公園にかかる実施方針や募集要項等を確定させる中で、議員ご指摘の前提となる入場者数や収支状況などの試算をする予定としてございます。
今、吉田理事がお答えいただきましたけれども、そのサウンディング型市場調査で意見を聞くためにも、町行政として考えている公園事業内容を明確にしておかなくてはいけないのではないでしょうか。
民間事業者が意見を言ったり、事業提案しようにも、入場者数や収入規模をどれぐらいの目標値にするのかなどきっちりと定めておかないと、幾らサウンディング型市場調査で良い提案があったとしても、その判断基準にぶれが生じ、しっかりと見定めることができなくなります。
既に募集を始めているサウンディング型市場調査です。民間事業者と対話する間に町行政としてしっかりと方向性と目標設定を定めていただきたいと思います。そして、南海電鉄がみさき公園事業から撤退し、現在、公園運営がなされていないことで最も影響を受けたのはみさき公園で働いていた方々です。
南海電鉄が撤退を表明した文章に記載されていた直属従業員数は48名とのことでしたが、その他のアルバイトスタッフ、また園内事業者、そして施設では遊具のメンテナンスに入る技術者なども含めて考えていくと、町内でも類を見ないような雇用の創出をしてくれていたといえます。
それは、遊園地や動物園という接客サービスや動物の世話など、多種多様な仕事があるからこそでした。町内の方でも、町外からでも岬町で働くことのできる大きな雇用口が失われたのです。町として、みさき公園を岬町のものにする決断をした以上、その代わりとなるような、もしくはそれ以上の雇用、仕事の創設もまた、行政として新たな岬公園に求められることと考えていますが、どのようにお考えでしょうか。
●岬町 吉田都市整備部理事 の答弁
雇用の考え方についてのご質問をいただきましたのでお答えさせていただきます。新たなみさき公園の運営等の事業は長期間にわたり民間資金、経営能力及び技術的能力の活用により良質な公共サービスの提供と民間事業者の事業機会の創出を図ることを目的として事業者からの提案を募集する予定としております。
この考えのもとに、今月末に実施するサウンディング型市場調査の個別対話の中で、参加事業者から提案される公園の維持管理や運営に必要とする設備や人材など、とりわけ地域活性化の要因となります地元雇用や地元企業との協働などの活性化策の内容について、本町の現状を踏まえた個別対話を行っていきたいと考えているところでございます。
まちを活性化させるには、人の動きが欠かせません。人の動きとは、岬町を訪れる方のことはもちろんですが、働ける環境があり、岬町で仕事ができることもまた人の動きです。
今、お答えいただいたとおり、しっかりと岬町の現状を真摯に受け止め、雇用も仕事の創出も叶える公園事業を目指していただくよう要望したいと思います。さて、新たなみさき公園の事業者選定委員会を設置することは前回の6月議会で伺いました。この選定委員会にて選ばれた事業者が新たなみさき公園が進む道を担うわけですから、委員となる方々の意見や考え方、公園事業に対して持っている思想はとても重要です。
そして、本当に岬町とみさき公園のことを考えてくださり、より良い方向に進める選択をしてくださる方々に担っていただく必要がある重要な役割となります。よって、選定委員の委員構成は極めて重要になってきます。この選定委員について、委員数は何人で、どのような方にお願いすることを想定しているのでしょうか。委員を選ぶ基準として、町財政を潤すための公園事業をしっかりと考え、事業者選定に挑んでくださるような方にお願いできるように定めているでしょうか。
もちろん、せっかく行政で新たなみさき公園事業に関するアンケートも行ったのですから、その町民の声をきちんと反映させる考えを持たれている方にお願いするというのも大事ですし、そして、私がこの選定委員のメンバーに必ず入れるべきと考えるのが、岬町に住む方々の中から選任される公募委員です。専門的知識を持った方々の理論的な考えのもとに選定することも大事ですが、まちの声、町民の思いもしっかりと反映していただかなくてはなりません。公募委員は何人予定されているのでしょうか。
また、この委員候補を選ばれた後、正式に委員として依頼される前に、その候補者に対してヒアリングや面接を行う予定はしているのでしょうか。例えば、一方的に専門の方だからとか、よく同系統の選定委員を担っておられるからと、こちら側の勝手な認識だけで選んだとすれば、岬町の過去や現状を深く理解したより良い事業者を選定いただけるのかどうか不安に思っている住民の方も多いです。これらの委員の選定基準や方法についてもお示しいただけますでしょうか。
●岬町 吉田都市整備部理事 の答弁
選定委員の選任方法のご質問をいただきましたので、お答えさせていただきます。まず、事業者選定における審査委員の委員構成につきましてですが、新たなみさき公園整備運営等の事業は民間活力の積極的な導入を予定しておりますので、民間事業者の選定に当たってはこの方針を踏まえ、PFI法に規定します客観的な評価及びその結果の公表を行う必要があります。
これはPFI法第8条に規定されておりますが、このような観点から、まちでは、岬町PFI事業者選定審査委員会設置要綱を策定の上、この客観的な評価に必要な都市計画やまちづくり、観光などの専門知識を有する大学教授のほか、金融、法務などの専門知識を有する公認会計士や弁護士など有識者5名で構成する予定でございます。
次に、議員ご指摘の町民の声にも耳を傾けられる委員を選ぶ考えにつきましては、新たなみさき公園にかかる事業概要を既に公表いたしておりますが、サウンディング型市場調査の結果を踏まえまして、PFI法に定める新たなみさき公園整備内容を具体化する実施方針及び要求水準書などの策定作業に移っていきます。
この専門的な手続内容について、各専門委員の皆様にご説明を町からさせていただいて、町の方針を理解していただいた上で客観的評価をしていただく考えでございますので、委員の選任においては、さきの説明のとおり、PFI法に規定する客観的評価に必要な専門知識を有する方々を選任したいと考えています。なお、新たなみさき公園にかかる事業概要につきましては、今後のサウンディング型市場調査における対話結果によっては、町が示した事業概要を修正するなど、柔軟な対応を取る必要があることにつきましては、既にご説明したところでございます。
町財政を潤してくれるような公園事業ができる事業者を選定するには、私も申し上げましたけれども、確かに専門的知識を持った様々な分野の方のご意見は重要であり、必要なことです。けれども、私が心配しているのは、やはり岬町にある公園なのです。町民の声が反映できなくては、それは住民や町が望まれた姿にできなくなるということではないでしょうか。
しっかりと町民の思いを受け取り、その声を反映させることができる事業者を選定できる委員構成となるよう、また、なぜこの方を選定したのか、後ほど多くの住民に理解を得られるように、しっかりと考慮し検討していただきたいことをお伝えしてこの質問を終わります。